宿泊業のSDGs、実施率38% ノウハウ不足等に起因 矢野経済研究所調査

2022.01.17 00:00

 矢野経済研究所が実施した国内のホテル・旅館事業者のSDGs(持続可能な開発目標)に関する動向調査で、90.6%の企業がSDGsに取り組む必要があると考えていることがわかった。その一方で、実際に取り組んでいる企業は38.3%にとどまった。

 SDGsに取り組むべきと「思う」との回答が55.0%で、「やや思う」が35.6%となった。多くの企業が昨今の環境問題などに課題意識を持ち、社会的責任としての必要性を感じている。調査では、取り組まなければ今後生き残るのは難しいと考える企業も少なくないという。

 その半面、取り組みが進まない背景として、同研究所はノウハウ不足等があると分析。コロナ禍による経営環境の悪化や衛生面との兼ね合いも、自社で推進するうえでのジレンマとなっていると指摘する。

 ただし、取り組みを検討中と回答した企業も28.9%を占めた。気候変動対策が重要課題とされ、4月にはプラスチック資源循環促進法が施行されるなど国の施策も進められているなかで、今後、SDGsに取り組む企業が拡大する可能性もある。

 調査は21年9月に実施し、宿泊事業者184施設から回答を得た(外資系ホテル含む)。なおSDGsの17目標のうち、宿泊事業者が選択した目標で多かったのは、「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任 使う責任」「働きがいも経済成長も」の順となった。

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