Travel Journal Online

『日経トレンディ2022年1月号』 未来の観光を妄想して

2022年1月17日 12:00 AM

日経BP刊/760円

 ちょっと出遅れましたが、明けましておめでとうございます!

 今年最初に取り上げるのは日経トレンディの「2022-2030大予測」。未来なんて誰にもわからない。だが現在ある技術がどの方向に伸びるかはある程度予測がつく。ってことで、本特集はテクノロジーの進化に消費トレンド予測を重ね合わせ、近未来を読む趣向だ。

 調理までこなすフードロボット、3Dフードプリンター、職人やダンサーの動きが再現できる“着るロボット”、自律的に話すバーチャルヒューマン……。労働人口や食料難をテクノロジーがカバーする未来図には納得だが、こうなると「人間のやること」の価値が上がっていくだろうなと思う。「職人が握る寿司」「大工が建てた家」「ガイドが案内するツアー」。価値ある人間とそうでない人間では賃金格差もさらに広まっちゃうのかも、なんて、そうでない人間側として心配になってくる。

 そんな状況下、観光はどう残るのか。コロナ禍であらためて感じたのは人間の旅行好き、観光好きである。観光産業が消えることはなかろうが、カタチは多様化していきそう。仮想空間でアバターが案内するお伊勢参り。バスの車内でVR映画を鑑賞しながら移動して、観光地で下車しながら物語の続きをリアル体験するツアー。そしてもちろん、宇宙ツアー、空飛ぶクルマツアー。バーチャルで満足し旅に出なくなる人がいる一方、歩行支援ロボットで旅ができるようになる人々も出てくるかも。

 いやいや、妄想がはかどりますな。なんにしても、これらのテクノロジーをどう生かしていくのか判断するのは人間だ。それは未来の観光をこうしていきたい、という業界人の意識が問われることでもある。10年後、われわれはなにをしているんでしょうなあ。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。