Travel Journal Online

いつもの移動でマイル 電車に乗っても自転車でも歩いても

2021年12月13日 12:00 AM

(C)iStock.com/DNY59

旅行や出張の移動だけでなく、日常生活の移動でもポイントが貯まる。そんな新発想のサービスが動きだした。10月からシリコンバレー発のMilesが日本でのサービスを開始。12月からは全日空グループがANA Pocketのサービスを始める。新サービスは生活者の行動やツーリズムにどのような影響を与えるのだろうか。

 Miles(マイルズ)とANA Pocket(ポケット)に共通するのは、人間の生活に必ず付いてくる移動のすべてにポイントを付与する点だ。海外出張で飛行機に乗っても、観光旅行でドライブしたりクルーズに乗船しても、帰省で鉄道を利用しても、休日にジョギングしたり自転車でサイクリングしてもポイントが貯まる。もちろん毎日の通勤・通学のために駅まで歩いても、近所のスーパーまで買い物に行ってもポイント対象。あらゆる移動という移動が、世界中どこでも移動手段を問わず、ポイント付与の対象となるわけだ。

 このようなサービスを可能にするのは最先端テクノロジーの成果だ。サービス利用者はスマホにアプリをインストールするだけ。後はスマホの位置データに基づき、AI(人工知能)が移動手段と移動距離を自動判定しポイントを付与してくれる。

 しかもポイントは環境負荷が少ない移動手段ほど多く貯まるエココンシャスな仕組みとなる。マイルズの場合、飛行機の移動を1とした場合、車は10倍、車の相乗りは20倍、バスや鉄道・船は30倍、自転車なら50倍で、徒歩やランニングに至っては100倍になる。一方のANAポケットはポイント付与率等をまだ明かしていないが、「健康やエコな習慣づくりをサポートする」コンセプトを説明しており、マイルズ同様エコな移動ほど多くのポイントを付与する仕組みになるとみられる。

 貯めたポイントは、サービスの仕組みに参画するさまざまな事業者から提供される特典との交換によってユーザーに還元される。

マイルズにはJALグループが参画

 マイルズは16年にシリコンバレーで創業したスタートアップで、19年から米国でのサービスをローンチした。米国ではすでに登録ユーザー数が140万人以上おり、累計マイル数が50億マイルに達している。今年3月時点で累計マイル数が10億マイルだったことを考えると、急速にサービスを拡大していることになる。累計特典交換回数は1100万回以上で、ユーザーに還元された金額は約6700万ドル(約75億円)相当に達する。

 日本でのサービスはコネクトIQラボの子会社として1月に設立されたMiles Japan(マイルズジャパン)が運営。日本法人設立はコネクトIQラボに出資する米ベンチャーキャピタルのスクラムベンチャーズがサポートしており、グループ会社のスクラムスタジオ代表取締役で、日本でのウーバー立ち上げなども手掛けた高橋正巳氏が、マイルズジャパン代表取締役CEOを務める。

 米国発サービスが海外展開を図る際には英語圏から始めることが多いが、マイルズが米国外で初のサービス対象地域に日本を選んだことについて高橋CEOは「マイルズのジガー・シャーCEOが18年に来日した際、どこに行っても薬局でさえポイントサービスがあることに驚き、生活の中にポイントが根付いている日本市場にビジネスチャンスを見いだした」と説明する。

 ポイント大国の日本だけに、サービスに参画する企業側の理解も早かったようだ。サービス開始時に特典を提供するローンチパートナーに83社が名を連ね、108特典が用意された。83社の中にはJALグループやJR東日本グループ、ファミリーマート、あいおいニッセイ同和損保など日本を代表する大企業が含まれる。

 パートナー企業が提供する特典に関して、JALグループはジャルパックの国内ダイナミックパッケージの割引や、JAL ABCの空港宅配サービス割引などを用意。JR東日本はJREモールでの買い物割引、コンビニ「NewDays」の飲み物無料クーポン、コワーキングスペース「Station Work」の30分無料クーポンを用意した。ファミリーマートはコーヒー無料引換クーポンを提供している。

【続きは週刊トラベルジャーナル21年12月13日号で】[1]

Endnotes:
  1. 【続きは週刊トラベルジャーナル21年12月13日号で】: https://www.tjnet.co.jp/2021/12/12/contents-110/