ネオラグジュアリー層が台頭 体験や環境問題重視、業界回復の牽引役に

2021.11.15 00:00

 ラグジュアリーの概念が物の所有から製品やサービスの体験へと進化している。“ネオラグジュアリー旅行者”が登場し、ラグジュアリーの民主化を進めているとの声もある。

 観光マーケティングを手掛けるITGのクリス・ポメロイ部長は、「ネオラグジュアリー層は体験と本物を求めており、受け入れ地域はこうしたニーズにきちんと対応しなければならない」と指摘する。「この旅行者層へのマーケティングには3つのポイントがある。彼らが誰であるかを知り、それに応じてサービスを調整し、コ・クリエーション(共創)を可能にすることだ。標準化され、固定化されたパッケージの提供にとどまらない」

 ポメロイ部長はインテリジェンスプラットフォーム「Travellyze(トラベライズ)」の統計と分析を引き合いに、ネオラグジュアリー旅行者は単なる新しい客層ではなく、観光業界の回復を牽引する層であるとの分析を支持した。欧州を対象にした同調査によると、旅行に年間3万ユーロを投じた世帯の70%以上が22年に同じかそれ以上を旅行に費やす計画があることが明らかになった。求める体験は、美食も重要だが必ずしも高級レストランが重視されているわけではなく、自然やアウトドアも重視されている。

 31%が持続可能性と環境問題を非常に重視していることもわかった。さらに、22%が旅行中に地方を訪れ観光を楽しんだのに対し、支出が少ない人はわずか10%だった。


この記事は米フォーカスライト運営のニュースサイト「フォーカスワイヤー」を基にフォーカスライトの牛場春夫日本代表が執筆したものです。参考記事(英文)はこちら。
「IS THE NEOLUXURY TRAVELER LEADING INDUSTRY RECOVERY?」

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