2021年10月18日 12:00 AM
観光庁は上質な宿泊施設の開発促進事業で、奈良県ビジターズビューローと和歌山県那智勝浦町を支援対象に選定した。開発候補地はいずれも吉野熊野国立公園内で計3カ所。日本が誘致し切れていない富裕層など高単価客の受け入れ環境整備に向け、ラグジュアリーホテルの誘致に意欲的な自治体・DMOと運営会社を引き合わせ、助言や現地視察の支援を行う。ただし補助金は交付せず、個別取引にも関与しない。10月29日の2次締切を経て、新たな支援対象が追加される見通し。
公募では、自治体が具体的な開発候補地を所有または所有者と調整を行っていることを要件した。上質な宿泊施設に見合う立地や周辺環境に加え、開発をソフトランディングさせるために土地の所有や規制緩和など支援体制も採択基準となった。
奈良県ビジターズビューローが扱う候補地は吉野山で、既存施設の活用を想定する。奈良県は全国でも宿泊施設が少なく、低価格帯の施設が増えつつある半面、5つ星クラスは昨年開業したJWマリオットのみ。かねてから誘致活動や都内高級ホテルでの人材育成研修に取り組んできた。中西康博専務理事は「ラグジュアリー市場に向けた観光コンテンツを開発するノウハウの取得にもつながる」と期待する。
那智勝浦町は浦神半島と粉白の2カ所。浦神湾を挟んで向かい合い、特有の地形からの眺望や風光明媚な自然環境が売りで、施設は新たに開発する。「熊野エリアは世界的にも注目され、訪日富裕層のニーズに合った観光資源は豊富だが、受け入れ体制の整った宿泊施設に乏しく近隣エリアに流れてしまっている」(観光企画課)。環境や景観に配慮した小規模の施設を想定している。
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