日台のDMOが初の連携協定、地域課題解決へ相互交流 コロナ収束後へ布石

2021.10.04 00:00

協定締結式にはインアウトバウンド仙台・松島の西谷雷佐代表(左)と宮城県幹部が臨んだ

 仙台市や松島町など宮城県の6市3町を領域とする地域連携DMOのインアウトバウンド仙台・松島は9月24日、台湾のDMOである雲嘉南浜海観光圏と姉妹協定を締結した。日本と台湾のDMO が提携するのは初めて。宮城県にとって台湾は最大のインバウンド市場で、一方の台湾は日本に倣いDMOによる観光地域づくりを推進している。新型コロナウイルス収束後の往来再開に備え、観光を通じた地域課題の解決や相互送客などで連携を強化する。

 雲嘉南浜海観光圏は台湾南部の雲林県、嘉義県、台南市の沿岸8行政区を管轄する。台南市と仙台市はかねてから姉妹都市の関係にあり、両地域とも水産業を主要産業とし、製塩文化など共通項が多い。連携の詳細は今後詰めるが、情報と物産の交流から着手する見通し。

 往来再開後は、「地域課題への取り組みを相互に学ぶなど、少人数で実施でき、継続的な人材交流にもつながる形から始めたい」とインアウトバウンド仙台・松島の工藤雅教COO兼CMOは語る。自治体や関係事業者、学生などの参加を想定している。

 松島エリアは人口減少や高齢化が進み、特に東日本大震災以降は水産業の担い手不足が深刻になっている。インアウトバウンド仙台・松島は、体験型・学習コンテンツの整備など、観光を通じた地場産業の魅力向上や後進世代への訴求に取り組んできた。今回の提携により、共通する産業間での交流も有意義と見ている。

 台湾にとって、提携の意義は大きいとみられる。19年の地方創生元年を機に観光当局は台湾版DMOの推進に乗り出しており、第1弾として雲嘉南浜海観光圏を含む10地域を指定した。先行する日本のDMOとの初連携は先駆的事例となりそうだ。

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