2021年9月20日 12:00 AM
政府が日常生活の回復に向けて行動制限を緩和する方針を打ち出したことで、旅行市場が再び動き出しそうだ。9月9日に示された緩和策では、旅行をはじめとする県をまたぐ移動について、緊急事態宣言等の対象地域であっても新型コロナウイルスのワクチン接種や検査を受けた人は自粛要請の対象に含めないこととした。接種証明などを活用した観光振興策も検討する。時期は希望者にワクチンが行き渡る11月ごろとみられているが、自治体では国に先んじた動きが出てきている。
ワクチン接種を2回終えたことを証明する接種済証の確認もしくはPCRなど検査結果を確認し、緩和措置の対象とする。いわゆるワクチン・検査パッケージで、これに基づき、イベントの人数制限を緩和するほか、飲食店でも第三者認証を前提に営業時間やグループでの会食人数を緩和する。
政府の方針を受け、JATA(日本旅行業協会)は「旅行マーケットの再開に向けた前進」と喜びのコメントを発表した。自民党観光立国調査会や経団連などへの要望が反映された格好だ。観光庁の和田浩一長官は9月15日の定例会見で「観光関連産業では一筋の光と受け取られる方も多いと思う」と述べ、感染拡大を防止しながらいかに観光振興を図っていくのが適切か、内閣官房と連携して振興策を検討していく考えを示した。接種証明の活用は業界別ガイドラインの策定も視野に入れる。
制限緩和は飲食等で実証実験を経ることとなるが、県民のワクチン接種が全国最速ペースで進む群馬県は、10月上中旬にも独自の需要喚起策を開始する計画を発表した。接種完了者の旅行代金を5000円割り引くキャンペーンで、国が年内を予定する接種済証の電子化との連携も検討している。
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