富裕層ツアーで旅行業参入 弟子屈町の海産物販売業者、口コミで顧客拡大
2021.08.09 00:00
川湯温泉で知られる北海道弟子屈町の第3種旅行業者、北国からの贈り物が手掛けるオーダーメードのプライベートツアーが経営者層を中心にファンを広げている。カニなど地元特産品の製造加工・卸売りやEC事業を行う異業種からの参入。宿泊客の減少に伴い旅館の休廃業が相次ぐ地域を活性化しようと、加藤敏明代表取締役社長が一念発起した。ツアーは2泊3日で平均8万~10万円(北海道までの移動費除く)と高額だが、4月に事業を本格化して以降、口コミで客が増えている。
旅行業を交流人口や関係人口を増やすための入り口と位置付ける。コロナ禍によって団体旅行から少人数ツアーへのシフトが進み、海外と同じ雰囲気を味わえる良質なプライベートツアーの需要が高まると想定。事業開始を前に地元の優良コンテンツを徹底して拾い上げ、吟味した。
商品の特徴は遊びと学びの好バランス。一例では、湖畔でのテントサウナ、バーベキューなどアクティビティーと、不動産めぐりといったビジネス要素を組み合わせる。現地での事業展開を検討する参加者には、行政トップと面談の場を設定したケースもある。
顧客とのやりとりはオンラインが基本。社員3人が専属コンシェルジュとなり、モデルツアーを示したうえで理想の旅を企画する。7~8月は各月10組程度、参加者平均8人のツアーを受注した。「経営者仲間でまず参加し、気に入ると社員や家族でリピートしてくれる」と加藤社長は手応えを示す。初回の感想や志向を踏まえ、回を重ねるたびによりディープな体験をできる旅を提案していく意向だ。
ニセコなど他のエリアにも拡大する計画。国際往来が再開すれば、訪日富裕層も見込んでいる。
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