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オンライン体験で地域課題解消、JTBコミュニケーションデザインが食材ロスに焦点

2021年6月28日 12:00 AM

オンラインで穴水町の特産カキを使った料理を伝授。双方向型で参加者から質問が飛ぶことも

 オンラインツアーやイベントが1つの商品領域として確立されつつあるなか、JTBコミュニケーションデザイン(JCD)は地域課題の解決につながる独自のアプローチを強めている。コロナ禍で深刻化する食材ロスに焦点を当て、特産物の流通と料理体験、地域の情報発信を同時に行い、消費と観光客誘致を促す。これまでに三重県や石川県穴水町と組んで実施し、プログラム購買数が目標を超えるなど手応えを得た。今後対象を全国に広げ、課題を抱える地域との協業を増やす。

 三重県と穴水町で開催したのは「おうちで食の旅体験」。事前に参加者の自宅に食材を届け、料理をオンラインで教えながら一緒に作る。調理は家事代行サービスのタスカジが担い、自宅で手軽に楽しめる料理を伝授する。

 穴水町では、毎年約2万人以上を集める「雪中ジャンボかきまつり」がコロナ禍で中止に追い込まれた。集客はもとより、この日に向けて養殖された約10万個のカキが行き場を失った。その流通を手助けし、将来的な訪問意欲を掘り起こそうとJCDがオンラインイベントを提案した。5月22日の開催当日は現地と中継をつなぎ、漁師が水揚げしたばかりのカキを説明し、観光交流課の担当者が町の説明に力を込めた。クラウドファンディングを通じた参加プラン購入額は、目標の20万円を上回る34万2500円を集めた。

 JCDの川杉章エグゼクティブプロデューサーは、「安易な値引きではない方法で食材の流通や魅力の伝達を行い、地域のエンゲージにつなげることができた」と手応えを示す。全国のすべての食材が対象といい、「課題がある限り地域と連携し、解消やブランディングに貢献していきたい」と今後に意欲を示している。

【あわせて読みたい】オンラインツアーの磨き方 育てよう新たな柱に[1] 訪日喚起にオンラインツアー有効、実施率向上と事業者連携が鍵[2] JTB、事業ユニットを再編 ソリューションなど3つの戦略ごとに[3]

Endnotes:
  1. オンラインツアーの磨き方 育てよう新たな柱に: https://www.tjnet.co.jp/2021/02/08/%e3%82%aa%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%e3%81%ae%e7%a3%a8%e3%81%8d%e6%96%b9%e3%80%80%e8%82%b2%e3%81%a6%e3%82%88%e3%81%86%e6%96%b0%e3%81%9f%e3%81%aa%e6%9f%b1%e3%81%ab/
  2. 訪日喚起にオンラインツアー有効、実施率向上と事業者連携が鍵: https://www.tjnet.co.jp/2021/06/07/%e8%a8%aa%e6%97%a5%e5%96%9a%e8%b5%b7%e3%81%ab%e3%82%aa%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%e6%9c%89%e5%8a%b9%e3%80%80%e5%ae%9f%e6%96%bd%e7%8e%87%e5%90%91%e4%b8%8a%e3%81%a8/
  3. JTB、事業ユニットを再編 ソリューションなど3つの戦略ごとに: https://www.tjnet.co.jp/2021/03/08/jtb%e3%80%81%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%83%a6%e3%83%8b%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%92%e5%86%8d%e7%b7%a8%e3%80%80%e3%82%bd%e3%83%aa%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%81%aa%e3%81%a93%e3%81%a4/