HIS、国内強化で沖縄に重点送客 22年黒字化へ 旅行業占有率は引き下げ
2021.06.21 00:00
エイチ・アイ・エス(HIS)はコロナ禍からの起死回生に向け、国内旅行をいっそう強化する。21年10月期中間期(20年11月~21年4月)の連結決算は232億円の最終赤字となり、前年同期の35億円から赤字額が大幅に膨らんだ。主力の海外旅行が再開に至らず壊滅的な打撃を受けたためで、回復局面も22年春にずれ込むと予想する。社員の外部出向拡大によるコスト削減や非旅行業の成長加速を進めつつ、最も早い回復が見込める国内旅行で売り上げ拡大を急ぐ。
国内旅行の強化は、上場以来初の赤字となった20年10月期の業績を受け、19年の4倍となる1600億円まで売上高を拡大する方針を示していた。その目標達成に向け、海外旅行300万人の送客基盤を生かし、顧客を国内旅行に誘導する。
強化方面は、航空券が伴うため利幅が大きい北海道、九州、沖縄。特に沖縄は100万人計画を掲げ注力する。ハワイやグアムなどビーチリゾート需要を取り込み、今後2~3年で達成したい考え。ピーク期にはチャーターも視野に入れる。ただ、コロナ下で旅行者が有名観光地を避けたり、近場を選ぶ傾向が顕著となっており、変化にどう向き合うかが課題となりそうだ。
一方で、売り上げ全体に占める旅行業の占有率をコロナ前の70%から5年以内に50%未満に引き下げる。「旅行業に偏らず、安定して利益を残せる揺らがない体制にしていく」(澤田秀雄代表取締役会長兼社長)。テーマパークやホテル、エネルギー事業はもとより、昨年に相次ぎ立ち上げた飲食や旅館再生支援など新規事業を柱に育てる。
澤田会長は「コロナ禍の影響はいまがボトム」といい、22年の黒字化を目指す考えを示している。
【あわせて読みたい】HIS、国内事業4倍に拡大へ 初の最終赤字で構造変革 HISが相次ぎ新規事業
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