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マヨルカ島でイースター休暇

2021年5月24日 12:00 AM

 ドイツで例年旅行シーズンの始まりとなるイースターの連休(21年4月2~5日)だが、英国株によるコロナ感染者の急増で昨年12月中旬から緩やかなロックダウンが続き、国内外の旅行自粛が要請されている。移動の自由はあるが、ホテルは観光客を泊めないので国内旅行は停止状態だ。外国旅行はほとんどの国がリスク地に分類され、外務省の旅行警告地となり、帰国後の隔離義務もあって旅行には向かない。

 さる2月、政府に感染症対策の助言勧告を行うロベルト・コッホ研究所は昨年夏の旅行を精査し、パッケージ旅行は感染を増大させないとの調査結果を発表した。旅行業界はこれまで推し進めてきた感染対策が正しかったことが証明されたと自信を深めた。

 発端はイースター3週間前の3月12日。ドイツ政府はスペインのバレアレス諸島(マヨルカ島など)の発生率(住民10万人当たりの直近7日間の感染者数)は20台とドイツよりはるかに低く安定し、旅行警告地リストから外すと発表した。これを契機にマヨルカ島へのパッケージ旅行予約は殺到し、TUIや航空会社は急ぎ商品を増やした。

 マヨルカ島へのイースター旅行は政治家、旅行業界、メディア、科学者を巻き込み賛否両論沸騰した。ドイツ国内の旅行ができないのにマヨルカ島だけ可能なのはおかしい、発生率が同程度のバルト海沿岸リゾートは旅行解禁すべき、島で騒いでコロナを持ち帰る恐れがある、現地の感染拡大になる、スペイン人は旅行できないのにドイツ人がスペインに旅行してよいのか、等々である。

 こうしたなか、マヨルカ島への旅行は実施された。イースター前の3月27日にドイツ12都市から60機、28日には70機がパルマに着陸した。搭乗前の検査証明が必要で、現地では陰性証明提示、レストランやカフェの飲食は屋外テラスで15時まで、ホテル同室は同居人であること、22時から翌朝6時まで外出禁止、テーブル同席数制限、ホテル屋内プール不可、屋外プール17時まで、ホテル内レストラン・カフェは宿泊客のみ22時まで、浜辺や散歩道散策にマスク義務など厳しい。帰国時の隔離はなく検査も不要とされていたが、ドイツ政府は突如3月30日に帰国前検査を義務化し、滞在中の休暇者を驚かせた。

 観光に依存するマヨルカ島は例年この休暇時期にドイツから100万人を迎えるが、今年は4万人となった。3月23日にメルケル首相はイースター連休は外出禁止、食品店以外は閉店、飲食店閉店、教会集会はバーチャル、国内外旅行自粛等々厳格なロックダウンを発表した。しかし強烈な反発にあい翌日謝罪して提案を撤回、日本でも大きく報じられた。従来の規制措置については4月18日まで続く。

 今回の旅行はいまのところ感染拡大につながってはいない。ドイツ旅行業協会は衛生対策を正しく行い、参加者の行動意識を高めれば旅行の実施は問題なく、旅行ビジネスを再開できるとさらに自信を深めている。ただ政治側からは旅行バッシングばかりで、経済活性化のための肯定的表明が欠けていると苦言を呈す。本稿執筆時(4月13日)のドイツの状況は発生率141、1日の新規感染者1万3000人強。マヨルカ島の発生率は30台で安定している。

グループ4●旅行業界と外国政府観光局で永年キャリアを積んできた4人により構成。大学の観光学部で教鞭をとったり、旅行業団体の幹部経験者もいる。現在、外国メディアで日常的に海外の観光・旅行業界事情に接し、時宜に応じたテーマで執筆している。