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『50歳からの私らしい暮らし方』 多様化する生き方に勇気くれる

2021年5月17日 12:00 AM

柿崎こうこ著/エクスナレッジ刊/1540円

 気がつけば50代も半ばである。

 恐ろしいことだ。

 ふらふらと旅して「ひとり旅サイコー!」とか言ってるうちに中年どころか老年に近づいてきた。ひとり身のまま、運営する宿近くの1K マンションに猫2匹と暮らす、20代と変わらない生活。子どものころ漠然と考えていた、夫と子どもと一軒家に暮らすのが50代、という定義とはえらい違いだ。といって困っているわけでもなく、周囲からも特に困られてはいない(変人とは思われているかも)から、いい時代だ。

 いろんな生き方があるぶん、いろんな老い方がある。女性の生き方はさらに多様化するだろうし、いまの政府や世間がその多様化をケアしてくれるとは思えない。お手本もないなか、自分の生き様を選んでいかねばなのだ。

 途方に暮れてしまうが、こんな本を読むと、ちょっとほっとしたりもする。

 本書は、独身フリーランスの女性イラストレーターが、家選びの考え方、生活を快適にする知恵、食や健康について工夫していること、お金、美容、
人間関係など、考え、試行錯誤して、1つ1つ積み重ねてきた「いま」をつづったイラストエッセイだ。

 家具のメンテ、思い出の品の処分方法、家計の管理、スキンケアの見直しなど、20代から美容マニアとして活躍してきた著者の知識と経験が熟成された知恵はナルホド!とうなずけるものが多い。センスのいい部屋やインテリアの写真は「……無理かも」とひるむが、ほんわかしたタッチのイラストが読者に寄り添って励ましてくれるようで、ちょっぴり勇気も湧いてくる。

 30~40代の女性には近い将来の参考になるだろうし、50代には仲間的な気持ちで楽しく読めるはず。すべての大人の女性たちにお薦めしたい1冊。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。