2021年3月1日 12:00 AM
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い20年4月から開始された雇用調整助成金の特例措置を活用している上場企業のうち、観光関連企業が受給額上位を占めていることがわかった。東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、航空・鉄道会社や旅行会社、テーマパークが名を連ねた。観光産業が労働集約型でなおかつ外出自粛の長期化により甚大な影響を受けていることが明白。業績の回復に時間を要することから、追加計上するケースも見られる。
調査は雇調金の受給または申請の情報を開示した上場企業を対象に集計した。1月末時点で648社と全上場企業の16.9%、計上額は2878億4610万円に達した。社数を産業別に見ると、製造業39.2%、小売り19.6%、サービス19.0%だが、利用が落ち込む航空・鉄道、旅行会社は1社当たりの計上額が大きく、上位7位まで独占した。
具体的には、ANAホールディングスが337億円と群を抜いて1位で、近鉄グループホールディングス(95億1700万円)、オリエンタルランド(78億円)、KNT-CTホールディングス(68億4000万円)と続く。このほか、旅行会社ではエイチ・アイ・エス(HIS)が66億200万円。帝国ホテル(26億円6700万円)や藤田観光(26億300万円)などホテル運営会社も目立った。
申請社数と計上額は増加傾向にあり、1月は12月から32社・408億5690万円増えた。追加計上が多かったのも観光関連で、ANAホールディングスが122億8900万円増、西日本旅客鉄道が36億6400万円増、HISが15億円増など。TSRは「ワクチン接種が始まるが、コロナ収束までの道筋は不透明で、年度末に向けて追加計上額が増えるとみられる」と予測している。
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