20年の訪日客、98年水準の412万人に 蒲生長官「回復容易ではない」

2021.02.01 00:00

 20年(1~12月)の訪日外客数は前年比87.1%減の411万5900人となった。日本政府観光局(JNTO)の推計値。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限により、春以降、旅行需要が蒸発した。政府が観光立国を掲げてビジット・ジャパン・キャンペーンを開始した03年の521万人を大きく下回り、1998年(411万人)と同水準。日本人出国者も全世界に不要不急の渡航中止が発出されたことを受け、84.2%減の317万4200人と77年レベルに沈んだ。

 訪日客は1月に1.1%減の266万1000人となり、過去最高を記録した19年の流れを受け継いで20年のスタートを切った。しかし、新型コロナウイルスがまん延し始めた2月以降、政府が各国に14日間隔離やビザ免除停止措置を講じたほか、渡航自粛を要請する国が広がり、4~7月は99.9%減が続いた。ビジネス目的の入国を限定的に認めるレジデンストラックやビジネストラックが11カ国・地域へ段階的に導入されたものの、観光目的の旅行は認められず、訪日旅行市場は壊滅的な状況となった。

 国・地域別に見ると、東アジアをはじめ、主要20市場が90%以上減少した。唯一、48.7%減にとどまったのがベトナムで、ビジネストラックなどが影響したとみられる。

 観光庁の蒲生篤実長官は20年の実績を「非常に衝撃的な数字」と評し、「そう簡単に戻るかは不透明」との考えを示した。観光庁は訪日観光旅行の再開に向け、ビジネストラックに準拠した防疫措置を講じたうえで旅程や参加者の管理を徹底した小規模ツアーを試行することを計画し、議論を深めていた。だが、水際対策が再び厳格化されている状況下、慎重姿勢を示している。

【あわせて読みたい】IATA調査、旅行需要回復は11月から停滞 UNWTO予測、国際旅行者の回復まで最大4年

関連キーワード