JR東と西武、包括連携で新事業開発 ワーケーションやMICEで地方創生

2021.01.18 00:00

包括連携を発表したJR東日本の深澤社長(左)と西武HDの後藤社長

 JR東日本と西武ホールディングス(HD)は連携し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた人々の価値観・生活様式の変容から生まれる新たな需要に対応する。両社の強みを生かし、ワーケーションの浸透拡大をはじめ、町づくりや沿線活性化を通じた新しいライフスタイルの創造や地方創生を加速したい考え。

 まず重点的に打ち出したのがワーケーションに関する施策だ。JR東日本の新幹線とプリンスホテルなどの宿泊施設を組み合わせ、新機軸となるプランの商品化を進める。たとえば軽井沢では、いちご農園での作業を含むボランティアワーケーションを最短3泊から最長31泊まで用意。また、移住アドバイザーが助言を行うなどの特典を付けた移住トライアルプランも提供する。

 積極的にワーケーションを進めてきたプリンスホテル&リゾーツを傘下に持つ西武 HDの後藤高志代表取締役社長は12月に会見し、「これまで1万人弱がワーケーションで利用した」と語り、「今回もそれなりの数字にチャレンジしたい」と意気込みを示した。対する JR東日本の深澤祐二代表取締役社長は連携の背景にコロナ禍で注目を集めたワーケーションの進め方への模索があるとし、「路線を前提に考えていたが、その輪を広げないと魅力あるワーケーションは提供できない」と述べた。

 ポストコロナを見据えた長期的な視点では、首都圏で開催されるMICEの分科会を地方で実施するなど、首都圏と地方を結び付けたより多様な提案を行い、グローバルにMICEの誘致を進める。また、品川や軽井沢などプリンスホテルが集積するエリアでMaaSを活用したモビリティーサービスの実現、池袋や高田馬場など結節する駅を中心とした拠点開発も推進する。