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IATA調査、旅行需要回復は11月から停滞 国際旅行者88.3%減

2021年1月18日 12:00 AM

 IATA(国際航空運送協会)によると、20年11月に有償旅客が搭乗し飛行した距離の合計(RPK)は前年同月に比べ70.3%減となった。国際旅行に限ると88.3%減と落ち込みが大きい。新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、各国が新たな渡航制限を設けたことが響いた。中国を筆頭に回復基調を示していた国内旅行も41.0%減。北半球の夏の旅行シーズン以降、旅行需要は緩やかに回復していたが、アレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務局長兼CEOは、「飛行機移動を伴う旅行需要の回復は11月に完全に停止した」としている。

 夏以降のRPKを見ると、6月は前年同月比86.5%減で、7月79.8%減、8月75.3%減、9月72.8%減、10月70.6%減とマイナス幅が徐々に縮小していたが、11月は横ばいとなった。国際旅行に限ると0.7ポイントの悪化。国境開放に慎重な姿勢を続けるアジア太平洋の鈍化に加え、新たな渡航制限を導入した欧州の影響が大きい。

 一方、国内旅行は10月から0.1ポイント改善した。GoToトラベル事業を展開する日本をはじめ、豪州などが上向いたため。日本は前年同月比で39.5%減まで回復した。回復を牽引する中国は4.8%減まで持ち直している。20年の国際旅行者数の減少は深刻だ。世界観光機関(UNWTO)は1~10月に世界各地が受け入れた海外からの宿泊を伴う国際旅行者数は、前年同期比72%減(9億人減)と発表。通年では70~75%減と予測し、1990年の水準に匹敵する約5億人を見込む。

 IATAのジュニアック事務局長は、感染再拡大のたびに強化する渡航制限に警鐘を鳴らし、「検査が感染拡大を抑え、経済回復軌道に乗せる最適な手段だと指摘している。