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原優二のコロナ奮闘記vol.19  1980円でPCR検査開始、官民一体の徹底した検査と隔離を!

2020年12月11日 3:10 PM

 もはや、コロナを言い訳にしても何も生まれない。生き残る術を見つけ出すしか道はない。

 先週、新橋に2900円でPCR検査が受けられる検査センターが出来たと思ったら、12月10日から1980円でPCR検査が受けられる施設「SmartAmp Station“駅前検査”」が、東京駅前にオープンした。

 12月4日配信の時事ドットコムによれば、「SmartAmp Station“駅前検査”」は、国立研究開発法人理化学研究所と神奈川県衛生研究所が共同で開発した新型コロナウイルス次世代PCR検査法、PCR/SmartAmp法を使用し、携帯やパソコンからのウェブ申し込みにより、待ち時間もなく、来店後は30秒の唾液採取のみで終了するため、1日に多くの人からの検体採取が可能とのことだ。

 料金は、来店採取(通常通知):1980円(検査結果は翌日通知)、来店採取(クイック通知):9900円(検査結果は当日通知)、来店採取(特急通知):(希望者は電話で問い合わせ)、法人・団体契約:1980円/1検体、郵送採取:2200円(結果は検体到着後翌日通知)※検査キットの発送は12月14日より。

 検体の郵送採取も可能だから遠隔地からでも利用できる。法人・団体契約も可能で、読売巨人軍や日本柔道連盟、日本サッカー協会などのスポーツ団体をはじめ、法人・団体様等のスクリーニング検査に広く利用されているという。

 私は8月初めに「ワンコインでいつでも検査」実現プロジェクトを立ち上げた。ワンコインとはいかないまでもほぼほぼ実現したといえよう。ワンコインまで下がれば、もっと利用範囲が広がる。先週聞いた話だが、ある大学のラグビー部が、学内でクラスターが発生したために大会を辞退したそうだ。こんな場合も、選手が自費で検査を受けて陰性であれば大会出場も可能になるだろう。国内旅行だって陰性証明提出を条件にすればより安心だ。GoToトラベルを中断しろという批判もなくなるのではなかろうか。

 私は、本来は自由診療ではあっても検査費用の低廉化と拡大は政府の管理のもとに行われるべきだと考えてきた。なぜなら陽性になった場合に検査機関から保健所への届け出を義務化しないと、陽性であることを隠す人たちが出て、陽性者を隔離することができなくなってしまうからだ。ところが政府は、自由診療の検査も含めて、徹底した検査で感染を防止するという方針を持たず、いまもってわれ関せずの対応だ。

 いままでは、国民全員を検査したくても予算もなければ検査能力も足りない。加えてPCR検査は、その時の状態しか示さず明日には陽性になるかもしれない。だからといって毎日検査することもできない。したがって、検査を無症状の人にまで拡大しても意味がない。といった説明を政府はしてきた。しかし、「SmartAmp Station“駅前検査”」の登場で、予算・検査能力などの問題もなくなり、本当に受けるべき人が受けられなくなるといった懸念もなくなった。

 冬場の感染拡大が心配されていたが、第3波は、感染拡大が止まらない。今週、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長の口からも「もうクラスターは追えない」という言葉まで出るようになったのだから、クラスターつぶしと行動変容、自粛でもだめなら行動制限から緊急事態宣言へ、といった感染防止対策を根本的に見直し、「検査の目的は無症状の感染者を見つけて隔離すことにある」ことを宣言して、官民一体となった「徹底した検査と隔離」で感染拡大を防いでほしい。

 先週、一般訪日旅行、裏返せば日本人の一般の海外旅行は、オリ・パラ後にしか再開されないことが明らかになった。見通しが立ったと安堵した人は少なかろう。どうやって会社を来年秋まで維持するのか。そのあとは本当に仕事ができるのか。それとも22年の春以降になるのか。心配は尽きない。しかも、雇用調整助成金も3月以降は縮小していくことが決まったとすれば、いよいよ正念場に差し掛かる。もはや、コロナを言い訳にしても何も生まれてこない。恨み言をいう前に生き残る術を見つけ出すしか道はないようだ。ここからが本番である。

原優二●風の旅行社代表取締役社長。1956年生まれ。東京都職員、アクロス・トラベラーズ・ビューローなどを経て、91年に風の旅行社を設立し現職。2012年からJATA理事、16年から旅行産業経営塾塾長を務める。