2020年11月16日 12:00 AM
JTBが新型コロナウイルスで打撃を受けたクルーズ旅行市場の再興に向けて動き出した。リブランディングプロジェクトを立ち上げ、持続可能で安心・安全・クリーンな船旅の訴求とブランドの確立に取り組む。クルーズは感染が拡大して以降、長らく停止していたが、11月から日本船社が運航を再開した。予約はリピーターを中心に好調で、独自色を打ち出せるチャーターの実施に向け、コロナ前とは違う新たなクルーズを打ち出す。
プロジェクトは重要性が高まるSDGsを軸に、仕入れやオペレーション、営業管理など各分野の担当者が参加して議論を重ねてきた。クルーズ部の鈴木章敬部長は「お客さまに選ばれるためにどういった価値を提供できるのか、どう変わったのかを示す」と狙いを語る。まずは世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のお墨付きを得た安全認証スタンプの掲出や、除菌グッズなどをセットにした感染防止キットの配布を実施。日本船3社が設定する11月以降のクルーズでは11月4日時点で予約が約3500人と好調に推移している。
次のステップとして模索しているのがチャーターだ。「これまでは観光ありきだったが、持続可能なクルーズに向けて自治体と連携し、教育や自然、防災などをテーマにコンテンツ化したい」(鈴木部長)。21年早期の実現を目指す。
変革を図るのは、新たな客層を開拓する狙いもある。国内クルーズが再開されたとはいえ当面は短期運航が中心で、頻度が増す分、市場の開拓が不可欠だからだ。日本のクルーズ人口約35万人に対し、JTB は約5万人を取り扱うが、近年は同業他社がクルーズを強化する動きが著しい。「再びリーダーシップを取るために挑戦する」(同)と意気込みを示している。
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