WTTC予測、観光業の失業者は全世界で1.7億人 GDP寄与額4.7兆ドル減

2020.11.09 00:00

 世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)がまとめた調査報告で、全世界の20年の旅行・観光業の失業者は1億7400万人に上る見通しとなった。GDP(国内総生産)に対する旅行・観光業の寄与額は前年比53%減を見込んでおり、4.7兆ドルの落ち込みに匹敵する。19年は全世界のGDPの10.3%を占め、3億3000万人が従事し、新規雇用の4人に1人を担うなど、経済的インパクトが大きかっただけに、新型コロナウイルスの影響による渡航制限が世界経済に与える損失の大きさが浮き彫りとなった。

 調査は6月にも実施しており、当時の失業率予測からは2300万人の改善がみられた。中国をはじめとする国内旅行の回復がプラス要因として挙げられる。また、安全プロトコルの策定や検査体制、接触者の追跡などの感染防止対策を講じたことが回復に貢献したとみている。

  WTTCによると、休暇シーズンの夏に世界中で渡航制限措置が続いた影響で1億2100万~4300万人の雇用が失われた。最新の失業者予測は、現在講じられている渡航制限が20年末まで続くと仮定したうえで算出した。一方、仮に渡航制限がただちに世界的に解除されれば、20年末には3100万人の雇用が維持されるとしている。

 グロリア・ゲバラ・マンゾ理事長兼CEOは、「われわれが協力して海外旅行を再開しなければ、世界の旅行・観光業が直面する長期的な悪影響はデータから明らかである」と警鐘を鳴らしており、国際的な協調の必要性を強調している。

 また、今後の検疫体制について、空港や機内での迅速かつ費用対効果の高い体制に変えない限り、回復はさらに遅れ、失業者も増えると指摘した。

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