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国立公園や農村滞在に予算要求 他省庁の21年度観光施策、ワーケーションと連動

2020年11月2日 12:00 AM

 各省庁の21年度概算要求の観光関連施策は、地域資源を活用した地域経済の活性化にワーケーションを絡めた事業が目立った。環境省は国立公園への来訪者の誘致と連動して促し、農林水産省は農泊の滞在施設や農林漁業体験コンテンツの整備と一体的に行う。ワーケーションは観光庁が新たな旅のスタイルの普及に向けて取り組む重点施策だが、他省庁も含め促進の動きが一気に加速しそうだ。

 環境省は国立公園の抜本強化を掲げ、従来から取り組んできた国立公園満喫プロジェクトの推進に前年度当初予算比11.4%増の122億6500万円を要求した。これに加え、感染リスクが少ない自然の中での滞在スタイルとして、国立・国定公園などでの滞在型ツアーとワーケーションの推進を事項要求に盛り込んだ。21年度はコロナ関連対策など必要経費は項目のみの要求を行える。環境省はすでに20年度補正予算で30億円を投じてツアー企画や体験プログラムの拡充、Wi-Fi環境の整備などを促進しており、これを来年度も継続強化する意向だ。

 農水省は農山漁村振興交付金として5.1%増の103億円を要求した。対象事業の1つがワーケーションにも対応した農泊の推進。農泊を実施するための体制整備や観光コンテンツの磨き上げ、地域全体でのプログラム企画といった取り組みと滞在・体験施設整備を一体的に支援するなか、ワーケーション用施設も対象に含めた。

 このほかの観光関連施策では、文化庁が全国各地で推進する文化観光に約2倍となる30億円を要求した。今年5月に施行された文化観光推進法で認定された地域計画や拠点計画の策定を支援し、博物館などの機能強化に取り組む。