2020年10月12日 12:00 AM
全日空(NH)はIATA(国際航空運送協会)の新流通規格(NDC)に基づく通信技術を使い、比較検索サイトでの検索・予約サービスを拡大している。3月のスカイスキャナーに続き、9月からグーグルで航空券予約と事前座席指定を直接行えるようにした。コロナ禍で航空会社の中にはNDC の開発を一時見合わせる動きも出てきているが、将来に向けて必要と判断した。
事業者の公式サイトに遷移せずに予約できる「グーグルで予約」の航空分野での導入は、日本では初めて。グーグルのアカウントにログインすると、登録済みの氏名や連絡先などが自動で表示され、グーグルペイにクレジットカード情報を登録している場合は決済まで一貫して行える。
NDCは、航空会社が公式サイトに限定している運賃や有料サービスを第三者に開放し収益増を目指す施策。NHは昨年、専用プラットフォームを開発し、基盤を整備した。コロナ禍で投資を抑制しているなかでもNDC に積極的な理由について、冨田光欧上席執行役員マーケティング室長は、「NDC は生産者のニーズで進んできた面が強いが、利便性が理解されればマーケットニーズに変わり、一気にドライブがかかる。その時に他社に後れを取らないように準備を進めておく」と語る。
提携先にはリアルでの取引を主とする既存旅行会社も見据えるが、コロナ禍の影響などにより、システム開発など体制が整うまでには時間がかかる見通し。動きが停滞していないデジタルの分野での環境整備を先行させる。グローバル市場とのタッチポイントが多い事業者と提携することでリーチを増やし、マーケットオリエンテッドなNDC の事業環境を推進する狙いもある。
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