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下地島、宇宙港誘致で観光に弾み 25年の有人旅行に向け拠点整備

2020年9月21日 12:00 AM

PDエアロスペースが開発を目指す
有翼型宇宙往還機のイメージ

 宇宙開発などを手掛ける PDエアロスペースと沖縄県は9月10日、下地島空港に宇宙港の機能を整備することで基本合意した。観光事業を1つの柱に据え、ANAホールディングスやエイチ・アイ・エス(HIS)などが参画し、25年までに同空港を発着する有人宇宙旅行の実現を目指す。沖縄県は富裕層を呼び込み、宮古島市をはじめ、県全体の観光に弾みをつけたい格好だ。

 下地島空港から発着する定期便は現在、国内線はジェットスター(GK)が成田線を週7便、関西線を週5便運航する。10月25日からはスカイマーク(BC)が羽田線と神戸線を各週7便、那覇線を週14便で開設予定で、路線ネットワークが広がる。国際線は新型コロナウイルス感染拡大の影響で現在運休しているものの、19年から香港エクスプレス(UO)が香港線を週3便運航しており、19年の宮古島市の入域観光客数は前年比2.3%増の113万9112人と過去最高を記録していた。

  下地島空港は、地方空港でありながら3000mを超える滑走路と高度な航空管制機能を有する。沖縄県は15年から下地島空港と周辺用地の利活用事業を進めており、国際線など旅客施設整備や運営、プライベート機の受け入れ事業を進めてきた。宇宙港事業は第2弾の取り組みに位置付けられ、有翼型宇宙往還機の飛行試験をはじめ、宇宙機用格納庫を用いたテナント事業や宇宙旅行に対応する訓練事業、観光事業を計画している。

 会見でPDエアロスペースの緒川修治代表は、「富裕層の求めるサービスをHISと考えていきたい」と語った。これに対し、HISの澤田秀雄代表取締役会長兼社長は、宇宙港の見学体験ツアーなど、有人旅行前の観光コンテンツの提供にも意欲を示した。