三菱UFJ、観光の新事業創出へ拠点 スタートアップと大手の技術融合

2020.09.14 00:00

約300坪の施設にコワーキングやイベントのスペース、プロジェクトルームなどを設ける

 メガバンクの三菱UFJ 銀行は、観光産業に特化した新ビジネスの創出に乗り出した。来年2月、大阪市に拠点を開設し、スタートアップと大手企業や行政、DMO、大学の交流を促して技術やノウハウを融合する。テーマ設定からマッチング、専門家の紹介、実装に向けた実証実験や資金調達までを支援する。25年の万博を控える関西は経済を牽引してきた観光が壊滅的な打撃を受けている。産業が抱える課題を解決し、地域経済の活性化を図る狙いだ。

 施設は、同社が設立する一般社団法人が三菱UFJ からの拠出金と会員の年会費で運営する。西日本旅客鉄道や近鉄グループホールディングス、オリックスなど、大手17社がすでに参画を表明している。スタートアップも会員に迎え入れる予定で、パートナー団体の関西観光本部などの協力を得て、広く声がけする。観光系に限らず、AI( 人工知能)や画像解析なども視野に入れ、意欲のある企業を呼び込みたい考え。中立的な組織とすることで、競合する企業であっても協業できるようにした。

 オープンイノベーションで産業を特化するケースは珍しい。プロジェクトのリーダーを務める戦略調査部企画グループの黒田愛深調査役は、「テーマを限定することで課題が特定しやすくなる。有効性を高めるため、企業のマッチングも偶然性に頼らず、主体的に踏み込んでいく」と話す。施設には専任で5人が常駐し、東京本社にサポートチームを置く万全の体制を敷いた。

 実証実験までに投じる1件当たりの初期投資の目安は最大1000万円程度。想定するテーマの1つがデジタル活用で、第1弾はリモート観光。すでに準備にとりかかっており、2月までにある程度の形をつくる計画だ。

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