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城泊・寺泊の推進へ10事業選定、訪日客の長期滞在や消費額増加へ

2020年9月7日 12:00 AM

 観光庁は、全国10カ所で城泊や寺泊による歴史的資源の活用を支援する。日本ならではの文化が体験できる宿泊施設として人気の高い城や寺を活用し、訪日外国人旅行者の長期滞在や旅行消費額の増加を促す狙い。受け入れに必要な多言語化にかかる経費や体験型・滞在型コンテンツの造成、コンシェルジュ対応などの取り組みを補助する。

  城や寺での宿泊は、欧米豪の富裕層に訴求できる良質なコンテンツとして政府が活用を促しており、新たな収益源の確保に期待が高まっている。すでに城泊や寺泊の取り組みをしていることを条件に公募し、10事業が認定された。

 そのうち城泊の事業は、大洲城(愛媛県)と平戸城(長崎県)の2件。1件当たり750万円を上限に経費の50%を補助する。大洲城では、すでに7月23日から着物・甲冑レンタルや着付けなど歴史的体験ができる城泊の予約を開始した。事業計画では、宿泊に加えたプランとして、城近くを流れる肱川での舟乗りや城郭エリアでのダイニング、城から徒歩約15分の距離に位置する臥龍山荘でのメディケーション体験を予定している。新コンテンツ造成により、殿様文化や城郭文化など、複数のコンテンツに触れることが可能となる。

 寺泊事業の上限額は780万円。青森県大間町のおおま宿坊(普賢院)や滋賀県大津市の延暦寺、高知県四万十町の四国八十八ヶ所霊場の1つである岩本寺などを認定した。高野山のある和歌山県伊都郡からは常喜院と恵光院の2件が採択され、常喜院は密教瞑想・体験センターの整備を掲げた。恵光院は高野山ヘルスツーリズムプログラムを取り入れることで、インバウンドの市場構成の平準化を目指す。