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HIS、DMMと観光コンテンツの新会社 古宮社長「地域との共存共栄を模索」

2020年8月24日 12:00 AM

DMM本社でも来客を喜ばせるデジタルアート。地域では内容を随時変えて常に飽きさせない試みを検討

 エイチ・アイ・エス(HIS)はDMM.comと新会社「地域創生LAB」を7月15日付で設立し、デジタルアートの技術を生かした観光コンテンツの開発に乗り出した。地域が大型の設備投資をせずとも国内外の観光客を呼び込めるキラーコンテンツを生み出し、地域経済の活性化を図る。海外で紹介する試みも視野に入れている。

 HISで地域交流事業に携わってきた古宮健史代表取締役社長の構想に基づく社内ベンチャーの位置付けで、出資比率はHIS51%、DMM49%。古宮社長はかねてから、地域の年度に縛られた短期の効果測定や予算獲得を目的とする事業者の姿勢を問題視。結果として商材の差別化が図られず価格競争に陥りがちな現状に危機感を抱き、地域との共存共栄の形を模索していた。

 「キラーコンテンツが必要だが、箱物をつくるのは予算や持続性の面で難しい。その点、デジタルアートは場所を選ばず、切り口を変えれば再利用もできる」(同)。良質なプロダクトを手掛けるDMM に話を持ちかけた。DMM側は「リアルでの展開が加速しチャンスが広がる」(旅行事業部・笠原鉄平部長)と期待する。

 構想の一例は全国にある県営動物園の集客の底上げだ。動物を模した体験型アートと組み合わせたナイトサファリで活気づける。飲食店や土産物店に営業時間の延長や来園者特典の提供を働きかけ、地域全体で消費が増える仕掛けを講じたい考え。インバウンド再開を見据え、コンテンツを海外で展示する機会も検討していく。

 地元自治体とのネットワーク基盤がある九州から手掛ける見通し。販路はHIS グループ内にとどまらず、他の旅行会社にも提供する方針だ。