2020年8月10日 12:00 AM
新型コロナウイルス感染拡大で渡航・入国制限を設けてきた地域が観光を再開する動きが広がっている。世界観光機関(UNWTO)によると、7月19日時点で全世界の4割が国際観光客の受け入れを再開していることがわかった。欧州や島嶼国を中心に観光への経済的依存度が高い地域で緩和が進んでいる。
観光を再開した国・地域は87に上る。欧州が41カ国・地域と半数を占め、島嶼国は20カ国・地域が再開した。国別では、アルバニア、セルビア、タンザニア、モルディブが感染防止のため講じていたすべての制限を解除した。たとえばモルディブは陰性証明書やPCR検査結果なしで入国でき、症状がない場合の検疫も不要とした。
UNWTOは、世界181カ国・地域を国内総生産(GDP)に占める観光の割合で4つのカテゴリーに分類している。観光はいまや全世界のGDPの10%を占める稼ぎ頭だが、経済的依存度によって再開の動きに差が見られ、アルバニアやモルディブは20%超と高依存。依然として入国に大きな制約を設けている日本は6~10%の3番目のカテゴリーに属している。ただ、同じカテゴリーでも、フランスやドイツなどはすでに観光を再開した。
ズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は「制限の緩和に伴い、グローバルツーリズムが人々の信頼を得るには国際協力が重要」と呼びかけた。
一方、国境を完全に封鎖している地域は115カ国に上る。そのうち88カ国は3カ月 以 上の閉 鎖を続けている。UNWTOはコロナ禍がもたらした観光消費の損失額を5月末までで3200億ドルと算出しており、すでに09年のリーマンショック後の世界経済危機の3倍の額に匹敵している。
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