2020年8月10日 10:30 PM
ようやく海外旅行の扉が日本とタイ・ベトナム間で開いた。空港でのPCR検査や14日間の公共交通機関不使用、自宅等での待機といった現行の水際対策を維持したうえで、駐在員などの長期滞在者用のレジデンストラックと、短期出張者用のビジネストラックの2種類が例外的に認められ、レジデンストラックの受付が7月29日から始まった。ビジネストラックについては、まだ協議中でいつ始まるかは未定。
ビジネストラックでは、14日間の待機期間中も行動範囲を限定した形(自宅等と用務先の往復等に限定、公共交通機関使用不可、不特定の人が出入りする場所への外出は回避)でビジネス活動が可能になった。ただし、いずれも本邦帰国前14日間の検温等の健康モニタリングの実施や誓約書、検査証明などが必要になる。
予想以上に条件はかなり厳しい。ビジネストラックでは14日間の待機期間中にも仕事ができるようになったが、公共交通機関も使えないし、レストランやスーパーなど不特定多数の人がいるところは避けるように要請されている。これでは観光目的の海外旅行の扉が開く日は全く見えてこない。
GoToで国内旅行が本格的に始まったが、都民除外、感染拡大、県独自の非常事態宣言等の発出、お盆の帰省自粛呼びかけなどで販売は厳しい。特に沖縄が心配だ。もし国が非常事態宣言を限定的ではあっても再度発出すれば、せっかく販売した国内旅行は収穫前に閉じてしまう。これでは経費ばかりがかかり収益を上げるどころではない。また、海外旅行専門の旅行会社もGoToに参加し、慣れない国内旅行を始めてがんばってはいるが、収益は昨年のよくて10分の1程度である。
国内旅行がスムーズに行えるようになり、海外旅行が再開されない限り、雇用調整助成金の特例がなくなれば多くの旅行会社が休眠・廃業に追い込まれるだろう。もちろん、旅行会社だけではない。宿泊業、土産物販売業、さらにはエンターテイメント業や飲食業などもいまのような自粛の繰り返しと新しい生活様式の徹底が続けば、採算がとれず何れ限界がくる。
私は5月18日からしばしば本稿で、徹底した検査と隔離こそが海外旅行への道を開くと訴えてきた。ブラジルのようにこの感染症を無視して経済活動を維持・継続しろといっているわけではない。徹底した検査で市中の無症状の感染者を見つけ出して隔離することで感染拡大を防ぎ、ひとたび感染者が出たらクラスターを徹底的に追跡して抑え込む。日本もそういう感染症対策に転換すべきだと主張しているのである。
もちろん、医療体制と隔離施設の拡充と医療機関への国の強力な支援が前提だ。その上で経済活動を維持・継続するために自由診療の検査を拡充し低廉化して陰性証明書を使う仕組みを作ろうと提案しているのである。
そのためには、いつでも誰でも何度でも検査を受けられるようにする必要がある。旅行業界に限らず、広く多くの方々と連携し大きな力にしたいと考え、ワンコインでいつでも検査実現プロジェクトを立ち上げた。
以下のURL(https://note.com/onekoin_kensa/n/n2f32a58c45ee[1])からご賛同署名および拡散をぜひお願いしたい。
あらゆる産業の垣根を越えて、多くの方々の賛同を得ることができたら、ウェブ上でのセミナーやリアルな場での集まりを開き、賛同者の意思を政府にぶつけ本プロジェクトの実現を図っていきたい。まずは、賛同者を1万人(8月10日現在400人)にすることが目標だ。
何とかなるだろうと思っていても、いまのままでは何ともならない。ワクチンができるまで待つしかないのか。それとて本当はいつになるかわからない。ならば、何かやるしかないと思う。それがワンコインでいつでも検査実現プロジェクトです。ぜひご協力ください。
原優二●風の旅行社代表取締役社長。1956年生まれ。東京都職員、アクロス・トラベラーズ・ビューローなどを経て、91年に風の旅行社を設立し現職。2012年からJATA理事、16年から旅行産業経営塾塾長を務める。
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