UNWTO駐日事務所、特権付与で活動強化 本保代表「設立以来の悲願」

2020.08.03 00:00

センター発足直後の7月3日に奈良県で開いた説明会にはDMOら56団体が参加。関心の高さを示した

 国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所は、日本をはじめアジア太平洋地域の持続可能な観光の推進に向け、活動を本格化する。牽引する機能として、同事務所を支援するアジア太平洋観光交流センター(APTEC)内にAPTECサステイナブルツーリズムセンターを7月に設立した。国連の専門機関の特権・免除が UNWTOに適用され、駐日事務所の組織体制や本部との連携が強化されたことに伴う取り組み。持続可能な観光地マネジメントに関するガイドラインづくりや国際ネットワークの拡大に力を入れる。

 専門機関の特権と免除は、国会での法案可決に伴い、7月20日に効力が発生。駐日事務所は法人格と契約主体の地位を得た。人材の採用が可能になり、本部職員の日本駐在の道が開けたほか、UNWTOの会議を日本で開催するたびに要求されてきた煩瑣な手続きを省ける。本保芳明代表は、「これで一人前の活動ができるようになった。1995年の設立以来の悲願であり、代表就任以来、自身の最大のミッションとしてきたことが実る」と喜びをあらわにする。

 持続可能な観光の推進はUNWTOの最重要課題だ。コロナ禍で訪日旅行が皆無となり、観光政策のあり方が問われるなか、本保代表は「成長一辺倒の政策を推進することは不可能で、地域住民や地域に寄り添った持続可能な観光が今後の政策の基軸にならなければならない」との考え。体制が強化されたこの機にセンターを設置することで強力に推進する。

 活動の軸となる観光地マネジメントでは、運輸総合研究所などと共に調査・研究を進め、ガイドラインを策定する。観光庁とも密接に連携し、モデル地区で進める日本版持続可能な観光ガイドラインの運用にも関与する。

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