2040年の旅行の姿は? 環境保護とデジタルが鍵 コロナは「2度とない改革の機会」

2020.07.20 00:00

 ユーロモニターインターナショナルは2040年の旅行に関する展望をまとめ、新型コロナウイルス収束後の旅行ビジネスについて、持続可能性(サステナビリティー)とデジタルへの対応が不可欠と指摘した。ミレニアル世代やZ世代を中心に高まりをみせている自然環境や人間の多様性への関心がコロナ禍で加速し、旅行目的や手段が変化すると予測。需要がコロナ禍以前の水準に戻るまでの3~4年こそ、「変化に合わせて旅行業界を再構築する2度とない機会」と行動を促した。

 未来の旅行を予約、地上輸送、航空、ホテルの4つの観点から予測した。いずれにも共通するのは、個人の嗜好をくんだ高付加価値の体験がロータッチでシームレスかつ安全に提供される環境で、デジタルトランスフォーメーションが実現を促す鍵となる。

 旅行先の選択では、AI(人工知能)を使ったアバターが個人の嗜好や心情に合った旅を提案する役割を果たす。購入前に自宅で仮想体験をして内容を吟味。気候に与えるインパクトや使用エネルギー量、廃棄物防止などの指標で比較・検討できるようになる。

 地上輸送は自動運転が一般化し、IoTや5Gの普及で車内にいながらにして周辺情報とつながる環境が整う。航空機も電動かつ無人運転が導入され、100人以下の小型機による2地点間移動が増えるとみる。乗客の情報をデジタル IDで管理し、同じ興味・関心を持つ人をグループ化して配席するという、新たな空の旅の楽しみも予想した。

 ホテルは多様性の尊重への対応強化が進む。宿泊客は一人親や一人旅など従来の家族の形にはまらない形態が広がり、ホームレスや困窮している人に空室を提供する取り組みも出てくると見通した。