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観光白書「旅行スタイルの転換を」 休暇分散化や滞在型旅行を促進

2020年6月29日 12:00 AM

 政府は今年の観光白書を閣議決定した。再び観光で地方創生の実現を目指すためには日本人の国内旅行の需要喚起が鍵を握るとし、新しい旅行スタイルの定着を検討課題と位置づけた。新型コロナウイルス感染症を契機に、特定の時期や場所に集中しがちな従来の形態から転換を図る。休暇分散化と滞在型旅行の促進が主な柱。働き方改革とも合致した国内旅行のスタイルを生み出す。

 新型ウイルスで観光産業はかつてない影響を受けている。5月の訪日客数は前年同月比99.9%減でわずか1700人だった。4月末時点の調査では、宿泊事業者の9割が5~6月の予約が7~9割減る見込みと回答。宿泊・旅行業者の8〜9割が貸付や雇用調整助成金など国の支援を活用する意向を示し、影響は深刻だ。政府は観光需要の喚起策として、感染が落ち着き次第開始するGoToトラベル事業と並び、新たな旅行スタイルの創出を挙げた。

 日本人の国内旅行消費額は日本国内における旅行消費額の約8割を占める重要な稼ぎ頭。ただし、現状のピーク期はゴールデンウイークのある5月とお盆休みの8月に偏重し、国内宿泊旅行の経験率も低下傾向にある。仕事や家族・友人と休日が合わないことが休暇取得の主たる阻害要因で、若年層や現役世代ほどその割合が多い。

 観光白書では、対策として、学校の長期休業日を分散して大人と子供が一緒に休日を過ごす「キッズウイーク」の導入を挙げた。出張のついでに旅行を楽しむブリージャーや休暇中に滞在先で仕事するワーケーションも例示し、多様な休み方や働き方が可能となる環境づくりを目指す。家族など少人数の滞在型観光も新たなスタイルに位置づけ、定着に向けて取り組む。