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米サンズ、IR日本進出を断念 ゲンティンやギャラクシーは継続

2020年5月25日 12:00 AM

 世界的な新型コロナウイルスの流行は統合型リゾート(IR)を運営する事業者にも大きな影響を与えている。米大手ラスベガス・サンズは5月13日、日本でのIR開発からの撤退を表明した。一方、ゲンティン・シンガポー ルやギャラクシー・エンターテインメン ト・グループは、日本市場への参入意欲をあらためて示した。  

 ラスベガス・サンズはMICEを中心とするIRモデルを強みとしており、ラスベガス以外にマカオやシンガポールでの開発実績がある。19年8月に横浜市がIR誘致を正式に表明すると、大阪府・市が夢洲で計画するIRへの応札を見送り、横浜を含む首都圏での開発に注力する方針を示していた。

 シェルドン・アデルソンCEOは、「日本でのIR開発の枠組みでは、目標達成は困難」とし、今後は日本以外での事業に経営資源を集中する。日本の観光市場はIR開発によって恩恵を受けるとしながらも、具体的な撤退理由については明言していない。ただ、新型ウイルスの影響で第1四半期(1~3月)の連結売上高は前年同期比51%減の17億8000万ドルで、最終損益は5100万ドルの赤字だった。

 これに対し、ゲンティン・シンガポー ルは売上高が36%減の4億6900万ドルとサンズ同様に減収となったものの、 横浜市のコンセプト募集に携わってきたことに触れ、同市が実施する事業者公募に期待を示す。ギャラクシーは61%減の50億7000万香港ドルと落ち込みがより大きいが、日本を含む海外市場での事業機会の模索を続けるとしている。

 3社は1月に横浜で開かれたIR産業 展に出展していた。横浜市は事業者の公募と国への整備計画の申請を予定どおり実施する意向。ただし、実施方針の公表を8月に延期した。