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有償ガイド解禁から2年、対応地域に依然課題 多言語化は進行

2020年5月18日 12:00 AM

 通訳案内士の資格を持たずとも誰でも有償でガイド業務を行える法改正から2年が経過し、使用言語は多様化が見られる半面、対応地域に依然として偏りがあることが観光庁の実態把握調査で明らかになった。一方で、街歩きやグルメめぐりなど短時間で手軽に参加できるツアーが増え、体験への需要の高まりに対応する受け皿が整いつつある。

 調査は旅行会社やマッチングサイト運営会社、外国語ガイド管理組織などを対象に実施した。管理組織から情報を得たガイドの分布では、全国10地域の中で関東が51.6%に上り、近畿が28.5%。中部・九州は5%台、東北、北陸信越、中国、四国は1%台で、沖縄はわずか0.6%だった。法改正は地方での担い手確保が目的の1つだが、訪日外国人の訪問率と乖離があり、通訳案内士と比べても地方比率が低い。

 一方で対応言語は、近畿と四国を除く全エリアで半数以上が英語以外で対応している。英語が過半数を占める通訳案内士と異なり、多言語化はある程度進んだといえそうだ。

 年齢やツアー時間でも違いが見られた。50〜60代が中心の通訳案内士に対し、有償ガイドは40代を筆頭に30代、50代と続く。20台も1割近くを占めた。ツアー時間は2〜4時間や2時間以内と短く、得意分野は街歩きや商店街などローカルカルチャーが最多。グルメ・ドリンクツアー、子供向けの職業体験・物づくり体験も上位に上った。

 ただ、ガイドの育成には課題が残る。63の管理組織のうち、育成を行っていない組織は42.9%。観光庁は通訳案内士登録研修機関が行う研修の受講を促したい考えだが、ガイド個人は66.9%が希望する一方、告知に非協力的な組織が61.1%に上った。