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ツーリズムの未来を拓け 産業界リーダーから新入社員へ

2020年5月4日 12:00 AM

今年も多くの若者たちが観光産業の仲間入りを果たしたが
(C)iStock.com/sqback

今年の新入社員は感染症による緊急事態宣言というこれまで誰も経験していない状況下での入社となった。厳しい船出を迎えた若者たちは、一方でツーリズムの未来の鍵を握るデジタルネイティブ最先端世代である。観光産業のリーダーたちは何を語りかけるのか。

 20年度の採用状況も学生優位の売り手市場が続き、優秀な人材の確保と就活早期化への対応を強いられた。しかし、ここで人材確保に後れを取れば、これまで以上に劇的な変化を遂げていくであろう観光産業の未来はおぼつかない。20年度に観光産業に仲間入りした若者たちは、ツーリズムの未来を拓く人材の中核を成していくと期待される。

 トラベルジャーナルでは観光産業の主要企業を対象に、20年4月の採用状況を尋ねるアンケートを行った(旅行8社、航空3社、鉄道4社、ホテル6社)。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で入社式の中止などはあったものの、就職活動そのものに大きな影響は及ばず、採用企業側も「20年度採用に影響はなかった」とする声が大半だった。一方で21年度採用に関しては、新型ウイルスの終息の目途がはっきりせずビジネスの見通しも立たないことから、「未定」との回答が9社(未回答1社含む)にのぼり全体の4割を占めた。次が「前年並み」の8社だった。

 20年4月に前年より多くの新入社員を採用したのは13社で、減ったのは6社。前年とほぼ変わらないが、21年計画で採用人数の増員を予定する企業は急減した。このため2年連続増員を計画する企業は昨年6社あったが今年はなかった。20年4月の採用が前年を上回ったのは、ホテルでは6社中5社。アパホテルは19年の336人に対し422人と採用人数を26%増やしている。ちなみに同ホテルは19年も18年より多く採用している。またニュー・オータニも19年の136人に対し20年は43%増の194人を採用している。

 航空会社は20年度の採用を増やしたのが日本航空とAIRDO(エア・ドゥ)の2社で減らしたのは全日空1社。21年度については、日本航空とエア・ドゥが前年並みとしているのに対し全日空は減少と採用実績、採用方針とも考え方が割れた。

 鉄道の4社は19年度採用で4社すべてが増員した反動もあって、20年度は採用人数を減らしたのが2社、増やしたのが1社、前年並みが1社となった。目立つのは21年度採用方針が分かれたこと。JR東は減少、JR西は増加、JR東海と西日本鉄道は前年並みとの回答だった。

 旅行会社の20年度採用は8社中5社が採用増で、2社が採用減、1社が前年並み。昨年と傾向は変わらないが、次年度計画は大きく変化。8社中5社が「未定」としており新型ウイルスの終息と影響が見通せないことが原因とみられる。

 3月に始まった21年度の就職活動、採用活動には新型ウイルスの感染拡大が大きな影響を及ぼしている。企業単独の会社説明会を中止したり、企業合同の説明会も取り止めになるなか、多くの企業がウェブによる説明や面談に切り替えた。日本航空は20年度採用からすでに「動画による録画面接を導入し地方学生へのアプローチを強化した」という。直接面談しないことで、移動の負荷がかかる地方学生がアプローチしやすくなるよう工夫した。

 採用の工夫に関して多かった回答はインターンシップの活用だ。「職種別にインターンシップを開催。エントリー前にそれぞれの職業体験をしてもらうと共に私たちの大切にしている思いを理解してもらえる機会を増やした」というエイチ・アイ・エス(HIS)をはじめ、「インターンシップの充実化などを含めて、より企業のことを理解できる機会を増やした」(航空会社)、「インターンシップを早期化したり、インターンシップのバリエーションを昨年度より増やすなどし、より多くの学生と接点を設けた」(ホテル)といった回答があった。

【続きは週刊トラベルジャーナル20年5月4・11日号で】[1]

Endnotes:
  1. 【続きは週刊トラベルジャーナル20年5月4・11日号で】: https://www.tjnet.co.jp/2020/05/03/contents-32/