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『はじめて旅するジョージア』 脳内旅行にも回復期にもぴったり

2020年4月27日 12:00 AM

Sanna(サナ)著/辰巳出版刊/1800円+税

 新型肺炎でどこもかしこも大変になってますが、みなさんお元気でお過ごしでしょうか。私はといえば、宿屋の4月の売り上げは前年比90%減でいったん閉館、ライター仕事は新聞系媒体から「移動や外出での取材が必要な旅の記事は当面掲載しない」というお達し。どの業界も大変だが、われらが旅業界はめちゃめちゃ難しい局面を迎えた。助け合って生き延びましょうね……。

 そんななか、意外にも旅行書の売り上げは割といいのだそうだ(これからどうなるかはわからないけど)。友人知人との会話でも、「これが終わったらまず旅に出る!」「京都絶対行く!絶対だ!」と意気込む人、けっこういる。

 私も旅に関わって四半世紀あまり(!)なので、旅ほど不急不要なものはないのはよく知っている。社会でなにかあると、真っ先に切り捨てられるのは金がかかる旅という娯楽だ。でも、回復期に国の経済や人の心を効果的に救うことができるのも、また旅だと思う……てか、そう信じている。

 というわけで超長い前置きとなりましたが、そんな回復期に注目しておきたい旅先のひとつがジョージアだ。ワインと美食の国として知名度が高まりつつあったが、あとひと盛り上がり、というところで新型肺炎の問題が起きてしまった。本書は、ジョージアの魅力と旅のノウハウを詰め込んだ初めてのガイドブック。写真が多くわかりやすいので、タイトルどおり「はじめて旅する」人にぴったり。

 2年前に私も訪れたが、5日間という短期でも国土が小さいのでけっこう回れるし見どころが多い。特にトビリシの旧市街の美しさ、ゲルゲティ三位一体教会からの眺望の素晴らしさなどは印象に残っている。脳内旅行にもぴったりな眺めて楽しいガイド本だ。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。