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新型肺炎で2月の訪日客58%減、中国は約9割のマイナス

2020年3月30日 12:00 AM

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2月の訪日外客数は、前年同月比58.3%減の108万5100人となった。5カ月連続のマイナス。昨年2月の春節が今年は1月だったことの反動減に加え、新型肺炎の感染拡大の影響を大きく受けた。人数ベースでは14年9月の水準まで落ち込み、減少幅は東日本大震災の影響を色濃く受けた11年4月の62.5%減に匹敵する。

 自然災害や日韓関係の悪化で低迷が続いていた韓国市場の落ち込みを補ってきた中国が87.9%減の8万7200人と激減したことが打撃となった。新型肺炎の感染拡大により、中国政府が団体ツアーや航空券とホテルのパッケージ商品の販売禁止、航空路線の一時運休・減便による座席供給量の減少、クルーズの運航停止などが響いた。

  韓国も79.9%減で、台湾(44.9%減)、香港(35.5%減)を含む東アジア4市場で71.9%減少した。そのほか、東南アジアや欧米でも2桁減の国が増えており、影響は東アジア市場以外にも広がっている。東南アジアのなかではシンガポール(24.9%減)とマレーシア(27.4%減)の落ち込みが目立ち、欧州は英国(21.0%減)を筆頭にイタリア(20.3%減)、ドイツ(18.6%減)と続く。継続的に訪日旅行プロモーションを実施してきた英国やドイツは日本への関心は高いとしながらも、訪日旅行の手控えが生じた。

 パンデミックによる世界的な移動の制約を受け、3月以降の訪日市場は壊滅的なダメージが避けられない。制約が解除されなければ誘客はままならないが、JNTOは「感染対策と情報発信を継続しながら、終息時の市場獲得に向けてスタートダッシュができるよう周到に準備していく」(金子正志理事)としている。