Travel Journal Online

危機管理のインフラ確立へ新会社、ワンストップで旅程変更やトラブル対応

2020年3月9日 12:00 AM

 日本旅行グループのNTAトラベルシンガポールは、海外出張や教育旅行の危機管理サービスを提供する新会社「タスカル・リソーセス」をクアラルンプールに設立した。独自開発の通話アプリを通じて急な旅程変更や有事にワンストップで対応する。自然災害や事件・事故が絶えないなか、企業や教育機関、それらを顧客にもつ旅行会社の危機管理の重要性が増しており、安心・安全のサービスインフラの確立を目指す。

 NTAトラベルを筆頭株主に、阪急グループのエアサーブや危機管理専門のオオコシセキュリティコンサルタンツなど5社が少数株主として参画した。壁田忠幸代表取締役は、「旅行会社に今求められているのは価格ではなく、安心・安全。それを可視化し、各社の負担軽減にもつながる共通基盤が必要と考えた」と話す。

 7カ国語対応で夜間を含む年中無休のコールセンターを設置した。通信料無料のアプリを介して出張者や学生の旅程変更や有事に対応する。日旅の海外拠点や契約旅行会社とのネットワークを生かし、120カ国で現地スタッフの駆けつけサービスを実施する。第3国間市場も対象で、今後200カ国に増やす。

 旅行会社との事業者間取引や企業・教育機関との直契約で、1アカウントにつき月額250円から提供する。特に学校からの引き合いが多いといい、個別行動の見守りに利用できる点を評価した高校の修学旅行での導入が決まった。人的サポートが手薄なダイナミックパッケージの需要にも期待する。

 20年の契約目標は月間3000アカウント。音声や文字での通話が可能なため、壁田代表は「聴覚など障害のある人も利用できる。社会インフラにしたい」と展望している。