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「知見生かし 航空業界の中心部へ」スカイマーク代表取締役社長の洞駿氏

2020年3月9日 12:00 AM

 「ドラマになるくらいの華々しい登場を経て、波乱万丈の運命をたどった」。
社長就任会見でスカイマークを外から見てきた印象を口にした。1990年代に始まった航空自由化の象徴として誕生した時には、事業免許を与える立場の運輸省にいた。その頃からスカイマークの動きは注視していたという。

 昨年11月に念願だった国際線への進出を果たし、成田/サイパン線に就航した。搭乗率は80%を超え、好調を維持する。収益基盤である国内線は競合が少ない神戸や茨城空港を軸とする路線網を強みとし、搭乗率が高いのが特徴。定時運航率は2年連続ナンバー1を獲得している。そのうえでの国際線は経営の重要なふァクター。拡大を狙い、ローコストキャリア(LCC)などと競合せず、国内線と同様にあくまでも独自色の強い路線を貫く。

 社長就任前は顧問として、重要会議に欠かさず出席してきた。国交省や全日空での要職経験を生かした人脈や知見が武器だ。「航空業界は単独では何もできない。それぞれの持ち分の中で役割を果たすことで世の中を動かせる」と重要性を説く。

 航空業界全体を俯瞰すると、スカイマークは予約システムひとつとっても、大手2社に大きな後れを取り、中心部にいるとは言い難い。「中に入っていく支えとなりたい」と意気込む。国際線に参入するやいなや再上場を目指すなか、新たな舵取りに注目が集まる。

ほら・はやお●1947年生まれ。東京大学法学部卒業後、71年運輸省(現国土交通省)入省。航空局長などを歴任し、2007年全日空顧問、11年全日空代表取締役副社長、18年スカイマーク顧問。20年2月から現職。