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新型肺炎、MICEビジネスに打撃 イベント・会議の中止相次ぐ

2020年3月2日 12:00 AM

 新型肺炎がさまざまな旅行分野に影を落とすなか、イベントや会議の相次ぐ中止・延期でMICEビジネスに及ぼす影響が拡大している。2月26日には政府が向こう2週間の中止か延期、または規模縮小を要請した。MICEは企業活動の活発化に伴い需要が高まっており、参加人数はもとより、交通・宿泊手配から運営、演出まで幅広く手掛けられれば高い収益性が見込め、本腰を入れる旅行会社も少なくない。大きな減収要因になりかねず、取消料をめぐる問題も浮上している。

 政府要請の前から開催自粛は出始めていた。一般財団法人関西観光本部が2月7~17日に実施した会員アンケートによると、新型肺炎の影響がかなり出ていると回答した企業の中で、国際学会の会議の中止や「中国だけでなく他国のインセンティブ旅行もキャンセルが出ている」とするホテルが散見された。PCO(会議運営会社)で国内大手の日本コンベンションサービスでは、2月20日までに中止が9件・延期2件となり、いずれも数百人~数千人規模という。JTBグループでは、国内企業が主催するイベントを中心に3月ごろまで中止・延期が生じている。

 法人旅行に強いある旅行会社は「出張減少のインパクトが多大で、全体で見れば影響は軽微だが、新型肺炎の流行前は訪日インセンティブが旺盛だった」といい、頭を悩ます。目下の課題とするのが取消料だ。主催者の意向と施設側の取り決めの狭間でハードなネゴシエーションを迫られている。

 企業は対面を避けてウェビナーなどに切り替えるケースも目立つ。リモートワークに商機を見いだしたのが空間貸しのスペースマーケット。「急なテレワーク等で使える」と割り引き特典を設け、需要を取り込んでいる。