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おたる水族館が旅行業参入、道外客の集客増へ10月から着地型商品

2020年2月24日 12:00 AM

ペンギンの雪中散歩などユニークなショーや飼育員の知識を生かした体験要素を商品化し、集客増につなげる

 おたる水族館を運営する小樽水族館公社は第2種旅行業登録を行い、旅行商品の企画・造成に乗り出した。入館者の約8割を占める道内の人口減少に備え、道外や訪日外国人の来訪を増やし、中長期的な経営の安定を図る。異業種の旅行業参入が相次ぐなか、水族館運営企業は初めてとみられる。

 小樽水族館公社は小樽市を筆頭株主とする第3セクター。トドやアザラシの飼育頭数で全国最多、全国に先駆けてトドショーを行うなどの個性を売りとする。過去10年の有料入館者数は14年を除きプラスで、減価償却もすでに終えるなど業績は堅調だ。だが、集客で依存する道内人口は少子高齢化で減少が避けられず、経営性を維持する策の1つとして旅行業に目を付けた。

 大手旅行会社に勤めた梅津真平参与の入社に伴い、18年から旅行会社にオプショナルツアーでの働きかけや外客誘致を本格化。19年は40万4296人を集め、22年ぶりの大台復帰を果たした。訪日客はアジアを中心に2万人が訪れ、底上げが図られている。

 ただ、オプショナル商品は低単価のため利幅が少なく、二の足を踏む旅行会社が多い。「積極的に取り扱いを増やすためには、自ら手掛けるのが最善策と判断した」(梅津参与)

 10月から札幌やニセコを起点とする日帰りバスツアーを実施する。飼育員が送迎バスに同乗して解説したり、トレーナー体験や同じ生物の個々の見分け方、バックヤード見学などを検討中だ。ニセコは訪日客がターゲットで、市内観光や食の楽しみも盛り込む。

 スタッフは旅行業はもちろん営業経験もないに等しい。経験を積ませながら基盤を固め、ゆくゆくは小樽・後志エリアの受注型企画旅行を手掛けたい意向だ。