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JATAが新型肺炎の対策室 潮目の変化捉え段階的リカバリー

2020年2月17日 12:00 AM

越智事務局長(右)と対策室の室長に就いた総務部の池畑孝治調査役

 JATA(日本旅行業協会)は新型コロナウイルス感染症の対策室を2月12日付で立ち上げ、会員旅行会社に向けた正確な情報の集約・発信と段階的な需要回復策の協議を始めた。渡航規制や一般報道の過熱、デマの流布により、訪日・海外・国内旅行の全方面でキャンセルや手控えが生じている。4月も受注鈍化が顕著であるなど、需要減は当面続く見通しだが、心理的不安のピークが落ち着く時期を見据え、旅行のムーブメントづくりに備える。

 13日に会見した越智良典理事・事務局長は、クルーズと武漢からの帰国者を除くと日本国内での感染者は4人にとどまる現状に触れ、冷静さを求めた。こうした情報を整理し、会員向け情報サイト内に専用ページを設けて、融資制度とともにワンストップで提供する。

 「潮目は必ず変わる。そのときにどう旅行需要につなげるかが大事」と指摘する。過去の感染症を例にとると、回復のめどは約半年。03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)では、香港政府が発生期に徹底した衛生管理を行い、渡航規制や流行レベルの緩和に応じて安全性のアピールや誘致キャンペーンを展開。WHO(世界保健機関)の渡航延期勧告の4カ月後には全世界からの訪問者がプラスに転じた。こうした知識を観光庁らと共有し、回復策を講じる。

 訪日旅行では、「目下、世界が関心を寄せるのは、どの国が巨大市場の中国をいち早く取り戻すか」(同)だという。東京五輪や旅行先としての評価から「日本は最もチャンスが大きい」とし、五輪前の安全メッセージの発信と大規模キャンペーンが必要とした。日本人の海外旅行先での受け入れ機運を醸成するためにも、「安心な国」の双方向での発信を関係各所に働きかける。