2020年2月10日 12:00 AM
WOWOWは、自社が放送する海外スポーツの現地観戦や映画の聖地訪問を目玉に据えたツアーを拡充し、旅行事業を強化する。映像を視聴する選択肢が劇的に増えるなか、事業の多角化と顧客理解の向上に取り組んでおり、旅がその鍵になると判断した。ツアーの実施を第三者に委託していた体制を改め、自前で手掛けることで、顧客の把握と満足度の引き上げを図る。
実施主体となるWOWOWコミュニケーションズの旅行業登録を第3種から第1種に変更し、専門部署やコールセンターを設置して基盤を整備。1月から「WOWOWトラベル」のサービス名で新たなスタートを切った。
WOWOWカスタマーリレーション部の菊地将弘リーダーは、「目指すのは番組の追体験」と話す。同社の契約数は約280万で、テニスのグランドスラム四大大会など、番組の根強いファンが多い。ツアーでは、観戦体験に加え、人気解説者による見どころや交流イベントを盛り込む。番組出演中の機会を利用すれば著名人起用のコストを抑制でき、価格訴求力も高まる。
WOWOWコミュニケーションズ旅行業務推進課の小林広教アカウントマネージャーは、「これが独自の付加価値になる」とし、年間20~30本実施する計画だ。番組や特定のスポーツにひもづいたファンクラブの会員同士の交流イベントも視野に入れている。
自前で手掛ける狙いの1つは顧客情報の把握にある。さまざまなデータを集約・分析するデータマネジメントプラットフォームを活用して視聴中の顧客特性の把握などに努めており、旅行も組み入れ、グループの財産として蓄積する。
集客は番組内やガイド誌が中心。会員の口コミによるツアー参加者が新規契約する効果もあるという。
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