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20年の客室供給不足は回避見通し みずほ総研「ホテル不足時代は終焉」

2019年12月9日 12:00 AM

 東京五輪の開催で20年の客室供給数の不足が懸念されるなか、みずほ総合研究所はこのほど実施した20年のホテル需給に関する調査分析で、客室不足は回避できると予測した。訪日外客数は韓国市場の落ち込みなどを背景に政府目標の4000万人を大きく下回る3400万人と試算。日本人の宿泊需要の高まりで減少幅は相殺されるが、ホテルの開業による供給拡大が需要を大幅に上回る見通し。

 20年の延べ宿泊者数は18年比で最大11.8%増加する計算。予想より訪日外国人が落ち込む一方で、日本人の宿泊需要が大きく増加するためだ。18年はビジネスホテルを中心に新規開業が相次ぎ、民泊新法に伴う規制緩和や民泊からの移行で簡易宿所も増加。簡易宿所はデザイン性にも優れた新規物件が日本人の需要増につながっている。

 こうした宿泊施設の開業は、計画と実際の増加数が一致しなかった従来に比べ、増加が確実となっている。みずほ総研は20年の開業計画を加味し、地域や施設タイプを問わず、「すべてのシナリオでホテル不足は発生しない」と予測。「ついにホテル不足時代は終焉した」と結論づけた。18年夏に行った試算では、東京や大阪で客室が不足すると見ていたが、供給増を受けて当初予測を覆す結果となった。

 ただし、五輪が開催される8月に限れば、最大4000室程度が不足する可能性があるという。深刻化する度合いは18年時より軽減したが、マラソン・競歩会場となる札幌市は繁忙期と重なり、需給逼迫緩和が課題となる。

 対応策として、みずほ総研はホテルシップやイベント民泊の活用、東京以外への需要分散化が有効とする。準備にかかる時間を踏まえ、今から加速させる必要性を指摘している。