2019年11月18日 12:00 AM
JTBは北海道、東北、首都圏の計12店舗で実施していた相談料の徴収を10月末で中止した。4月から旅行計画を立てるための相談に国内旅行で2160円、海外旅行で5400円を基本料金として設定したが、消費者の理解を得られず半年で終了に至った。大半の旅行会社が二の足を踏んできたテーマに対する最大手の取り組みとあって旅行業界の高い注目を集めたものの、サービスの対価という概念を市場に浸透させることのハードルは高かったようだ。
JTBの村田透執行役員リテール事業部長は中止の理由について、顧客の声と消費者意識調査、実施店舗の定量調査の3点を挙げた。特に「新規顧客への影響が高かった」といい、「相談するなら店に行きにくいという声も多くあった」と話す。また、徴収開始に伴い実施した消費者意識調査では、旅行に関する相談料を支払うことへの意識の低さが浮き彫りとなった。
相談料の徴収は旅行業法で認められ、標準旅行業約款にも明記されており、旅行会社はあらためて表明しなくとも徴収できることになっている。JTBは実施に当たり、一定期間内に成約すれば旅行代金の一部に充当する方法を採った。だが、「取るか取らないかの二択で、充当されるという理解の浸透が進まなかった」(村田部長)。
JTBは第3の創業をうたう改革の一環として、ヒューマンタッチの質の高いサービスを追求する姿勢を打ち出してきた。その対価となる相談料に対し、「旅行を企画する手間が省け、支払う意味がある」と顧客から賛同の声があったのも事実。今後の店頭販売のあり方については、ステージ制や来店予約制を推進し、個々の顧客に合った提案をできる環境づくりを続けていく。
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