HISが商社事業に本格着手 三重県と連携、食を海外に流通へ

2019.11.11 00:00

 輸出拡大へ意気込む澤田会長(左)と三重県の鈴木英敬知事

 エイチ・アイ・エス(HIS)は三重県と食の海外展開で戦略的連携協定を締結し、商社事業に乗り出した。

 海外では日本の食の人気が高まる一方、国内の産地では海外への輸出体制が不十分という現状がある。69カ国264拠点の海外ネットワークを生かし、市場開拓やマーケティングのほか、産地や流通といった各事業者との連携を促進し、双方のハブ役を担う。

 澤田秀雄代表取締役会長兼社長は「HISとしても大きなビジネスになりうる」と期待を示している。

 HISはこれまで、生産者に市場調査など海外展開に必要な支援サービスを提供してきたほか、今年4~6月には台北のホテルで北海道のカフェ「椿サロン」を期間限定でオープンするなど、輸出促進に関わる事業を展開。商社事業はこの延長線上にある。「グローバル市場のニーズを把握し、販路開拓や販売を担えるプレイヤーは不足している」(山野邉淳取締役上席執行役員)と商機をにらみ、本格着手することにした。

 提携では、お茶とミカンを戦略商材に定めた。お茶に関しては、アゼルバイジャンを加工・物流の拠点とし、物流や規制面で日本からの直接輸出が難しいコーカサス諸国、ロシア・CIS諸国、中東で販売するモデルを想定。共通ロゴマークを使用し、ブランド力の向上も図る。ミカンに対しては海外の個人や企業にオーナーになってもらう制度を創設し、産品やサービスを提供する。

 今後は「海外264拠点のスタッフがマーケティングから販売促進まで一気通貫でできる体制を整えていく」(山野邉取締役)。5年後には30カ国・10品目に広げる目標を掲げ、食材とひもづけたインバウンドツアーの企画などで実際に産地に訪れてもらえるような取り組みも行う。

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