2019年11月4日 12:00 AM
ここ数年でクルーズの注目度はかなり高まり、外国船社が日本市場に拠点を開設したり、客船を投入する動きが活発化。これに目を付けた大手旅行会社が需要取り込みに力を注いでいる。
国土交通省の統計によると、日本人のクルーズ人口は18年に前年比1.8%増の32万1000人となり、過去最多を更新した。特に寄港地に海外を含む外航クルーズ人口が9.1%増の21万5000人と大きな伸びを示した。これを運航船社別に見ると、フライ&クルーズや日本発着クルーズを運航する外国船社への乗客数が9.9%増の20万6100人で、成長を牽引していることがわかる。
日本のクルーズ人口は旅行市場全体から見れば絶対数はそれほど多くないとはいえ、3年連続のプラス成長で堅調に増加中だ。世界に目を転じても、17年には2580万人がクルーズに参加したと見られており、中国やインドを中心としたアジアの伸長が著しい。クルーズこそ、これからの旅行トレンドの1つといえるだろう。この波に乗り遅れないために、今から手を打つ必要がある。
伸びが期待できるクルーズ商品への取り組みとして先行する旅行会社は需要獲得のため、取り組みを強めている。目立つのがチャータークルーズ。独自性を確保しつつ確実な客室供給を行うためで、エイチ・アイ・エス(HIS)は子会社のクルーズプラネット、さらにはベストワンドットコムとの3社合同で、20年のゴールデンウイークにMSCクルーズの「MSCベリッシマ」をチャーターし、土佐と石垣島、宮古島などを巡る9日間クルーズを実施する。日本旅行は9月に包括的業務提携契約を締結した読売旅行との共同プロジェクトに南極クルーズ(21年1月18日発)を打ち出し、クルーズ販売に注力する。
このほか、阪急交通社は5月に国内2カ所目となるクルーズサロンを東京・新橋に開設。東武トップツアーズは全国の港のクルーズ誘致支援に乗り出しすなど、新たな動きも見られる。
オリンピックイヤーはクルーズの露出がさらに高まることになりそうだ。JTBはプリンセス・クルーズの「サン・プリンセス」をチャーターし、横浜港に停泊する同船をホテル代わりに使用するホテルシップを行う。宿泊を観戦チケット付きで販売する予定だ。一方、KNT-CTグループは、クラブツーリズムが「飛鳥Ⅱ」による「オリンピック競技大会観戦と豪華客船チャータークルーズ4日間」を実施する。
客船が東京に来航しているこの機を捉え、HISとクルーズプラネットは五輪直後の8月10日からサン・プリンセスで世界遺産の熊野古道や釜山、徳島などを巡る7日間クルーズを実施する。
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