一休、AI活用でパーソナライズ化加速 ヤフーとのシナジーで取扱高4割増

2019.10.28 00:00

事業戦略を語る榊社長。AI導入が生き残り戦略として不可欠とみる

 高価格帯の宿泊予約サイトを展開する一休は、AI(人工知能)を活用したリコメンド機能や価格設定でパーソナライゼーションを加速させている。第2創業期と位置付ける16年3月のヤフー子会社化以降、特に注力してきた施策で、ヤフーの事業とのシナジー効果もあり、18年度の取扱高は前年度比約40%増と大幅に伸びた。10月16日に事業説明会を開いた榊淳代表取締役社長は「宿泊予約市場がそれほど伸びていないなか、業績が順調に推移している」と自信を示した。

 パーソナライゼーション施策では、個別の価格設定として、会員情報やサイト動向をもとに予約時に付与されるクーポンの割引率を変える仕組みを導入。AIが予約の確率などを予測し、損益分岐点を算出して設定している。リコメンド機能についても、「同じ会員でも行く人や状況で選ぶ店は変わる」(榊社長)として、きめ細かなニーズに対応できる仕組みを構築している。

 ヤフーとの連携については、ヤフーメインページに一休へのリンクが掲載されたことで、サイトへの流入が拡大。宿泊施設に対する営業面でもヤフートラベルとの連携が進んでおり、価格帯などに応じてより適切な提案ができるようになったという。

 こうした取り組みの成果により、主力の宿泊事業は堅調に推移。宿泊事業の新領域として16年11月に始めたバケーションレンタルの予約サイトも取り扱う施設数が開始当初の100軒から780軒に増加した。また、飲食店のウェブ予約が一般化したことで、06年に開始したレストラン事業も第2の柱に成長した。榊社長はハイクラスにターゲットを絞った戦略を進めていくとし、「引き続き尖った分野で勝負する」と話している。