JNTO、スバルのファン層に照準  北米客誘致へ潜在需要に働きかけ

2019.10.21 01:00

コミュニケーションの場を目指して改装したスバルのSTIギャラリー

 日本の自動車メーカーは海外にコアなファン層を持つ。そんな高いブランド力と市場性に目を付け、日本政府観光局(JNTO)がユニークな訪日誘致策を開始した。スバルと組み、共同でプロモーション動画を制作し、日本の文化的魅力を北米市場に訴求する。日本を旅行先として意識していない層に新たな切り口からアプローチし、潜在需要を掘り起こす。

 旅行者の興味・関心に応じて、日本の楽しみ方を紹介するグローバルキャンペーンの一環。動画制作に当たっては、スバルの主要市場である米国でファン対象イベントを統括し、自身が熱狂的なファンでもあるロバート・チャンピオン氏を起用。同社のモータースポーツ参戦の歴史やレーシングカーを展示する東京・三鷹市のSTIギャラリーをコンテンツに含め、伝統や食、都市、自然など7つのテーマで日本を旅するドキュメンタリー形式とした。JNTO、スバル、同氏のSNSを通じて海外に順次配信する。10月13日に米カリフォルニア州で開催された大規模ファンイベントでも放映した。

 スバルにとっては、STIギャラリーを海外市場にアピールする狙いがある。聖地としてファンとのコミュニケーションの場を目指しており、1月と9月の2回にわたるリニューアルで貴重な物品や書籍などの展示やイベントを実施できるスペースを新たに設けた。「リニューアル以前から外国人の来場が目立ち始めていた。積極的にアピールすることで、この流れを加速させていきたい」(広報部)

 同社にとって米国は最大の海外市場で、18年の販売台数は68万台強に上る。車の購入はもとより、ブランド価値の向上につなげ、支持者を増やしていく意向だ。

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