道の駅、新ステージへ 地域活性、ドライブ旅行の拠点に

2019.10.07 01:00

道の駅のにぎわいが地域創生の肝になる
(C)iStock.com/Sergey05

全国1000カ所を超える「道の駅」。観光や防災の拠点としての役割に注目が集まるなか、観光庁が訪日旅行活性化の視点から強化に乗り出している。見据える先にあるのは、レンタカーツーリズムの定着だ。

 道の駅は、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供と地域振興への寄与を目的に1993年、当時の建設省によって設けられた制度だ。市町村等からの申請に基づき、国土交通省道路局で登録を行っている。創設当初は103カ所からスタートし、今年6月に行われた第51回登録で新たに6駅が登録され、合計で1160駅まで拡大した。国交省によると、全国の道の駅利用者は年間2億人以上となり、いまや道路利用者にとってなくてはならない存在になっている。道の駅の整備拡充に伴い、道路利用者への単なるサービス提供拠点としてだけでなく、道の駅自体が目的地として認知されるようにもなってきた。

 また、地方創生を重要施策に挙げる政府は、道の駅をその具体化に向けた極めて有力な手段として位置付ける。地方創生の核となりうる優れた道の駅を重点道の駅に認定し、積極的に支援する取り組みを14年度からスタート。現在、特に優れた機能を継続的に発揮しているとして国交相が選定する全国モデルに6駅、今後の重点支援で効果的な取り組みが期待できる重点道の駅に35駅、今後の取り組みに期待できるとして地方整備局長が選定する重点道の駅候補に49駅が選ばれている。

 しかし、存在感が増す一方で、問題も生じてきた。各設置者や運営者による自由な発想が成長を促した半面、民間ビジネス等がばらばらに行われてきたため、本来備えてきたはずの利便性や全体のブランディングが損なわれる懸念も生じているのだ。加えて、施設の老朽化や経営状況に問題を抱えるところも顕在化。さらに防災拠点としての期待が高まるのに応じて、安全・安心を確保するための駅同士の連携強化が求められ、訪日客増への対応にも連携強化の必要性が高まってきた。

 そこで国交省は、任意団体だった全国道の駅連絡会を5月に一般社団法人化し、全国組織としての機能強化と経営体制の透明化を図ったうえで、民間をはじめとする多様な主体との連携強化を図っていく方針だ。民間との連携強化の第一歩、あるいは民間のノウハウや活力の取り込みの一環として、連絡会では賛助会員を募集。応募状況に関しては「間もなく、ある程度まとまった数の賛助会員を発表する予定」(事務局)としている。

 また、国交省は道の駅が新たなステージに入ったとの認識のもと、「新『道の駅』のあり方検討会」を1月に立ち上げ、主に防災やインバウンド、少子高齢化への対応を検討しており、10月には「新たなステージに向けた提言」をまとめる予定だ。そのうえで同月開催の全国道の駅連絡会総会で「新たなステージに向けた宣言」を行い、道の駅が迎えつつある新たなステージへの取り組みを推進していきたい考えだ。

レンタカーツーリズムを推進

 観光庁も強い関心を寄せている。「これまでは道の駅をとことん活用するという腰の据え方はしてこなかった。観光庁の補助事業の対象に位置付けたこともおそらくなかったが、今後は道の駅の観光への活用に積極的に取り組んでいく」(田口芳郎外客受入担当参事官=取材当時)との方針だ。

 積極姿勢の背景には、外国人旅行者のレンタカー利用の増加がある。同庁の調査によると、訪日外国人旅行者の12%(組数ベース)がレンタカーを利用しており、利用率は訪日回数に応じて増加。1回目の7%が5回目には17%、6~10回目では21%と、リピーターほどレンタカーでの観光を楽しんでいる実態がある。

 そこで観光庁はインバウンドの活性化につながるレンタカーツーリズムの促進と定着を目指し、レンタカーツーリズム検討会(仮称)を設置して議論を深めたい考えで、今秋にも立ち上げたい意向だ。検討会では、レンタカーツーリズムの先進国である米国などの事例の研究や日本の現状との比較、レンタカーツーリズムを日本で普及していくうえでの問題点の抽出が行われる見通しだ。

【続きは週刊トラベルジャーナル19年10月7日号で】