Travel Journal Online

大手OTAやメタサーチ、戦略の柱に環境保護

2019年10月7日 1:00 AM

エアビーの南極研究の旅は1カ月に及ぶ。絶景を回って地理を学び、海洋保護の知識を身に付ける

 企業理念や事業活動に環境問題への積極的な関与を大々的に打ち出す旅行事業者が目立ち始めている。ブッキング・ドットコムなど大手OTA(オンライン旅行会社)や比較検索サイトのスカイスキャナーらは、共同で持続可能な旅を奨励するイニシアチブ「Travalyst(トラバリスト)」を立ち上げた。エアビーアンドビーは南極の現状を調査する旅を実施する。いずれも標榜するのは、環境保護の責任が問われる旅行業界を牽引するリーダーだ。

 動きの背景には、積極的な関与なしに環境意識の高い層や次世代の支持を得られないという危機感がある。金融業界では、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)への対応として、問題解決に資する事業に限定した投融資が加速する。企業の成長戦略にも影響を及ぼしかねない。

 エアビーは、海洋保護団体のオーシャン・コンサーバンシーや科学者と組み、南極で雪のサンプルを採取し、マイクロプラスチックの浸透度を調査する。11月から1カ月にわたる南極研究の旅で、調査に加わる市民ボランティア5人を募る。環境問題に対する一般の認識を高め、普及につなげる狙いだ。同社では、持続可能な社会の実現に取り組む専門家などに出会う体験プログラムの人気が高く、18年の予約数は前年の約3倍に増加した。

 大手旅行プロバイダーによるイニシアチブでは、気候変動や環境破壊への対処、観光公害の緩和を促す方法を繰り、奨励する。スカイスキャナーでは、過去1年間で1000万人がCO2排出量の少ないフライトを選択した。ただ、持続可能な旅への関心は高い半面、選択肢は少ないのが実情だ。政府やNGOなど広く参画を呼びかけ、専門知識を取り入れつつ方法を探る。