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「ビジネスの視点で神社をプロデュース」 CoCoRo代表取締役社長 清原正光氏

2019年10月7日 1:00 AM

 海外を主力とする旅行会社ら3社が神田明神の日本文化体験施設「エドッコスタジオ」の運営に乗り出したことは、訪日分野への挑戦として注目を集める。神社で生まれ育ち、広告代理店を自ら経営する傍ら、東武トップツアーズのアドバイザーを務める異色の経歴が買われ、舵取りを任された。

 2月の本格的な運営開始後、日本舞踊など伝統的な催しに加え、アイドルのコンサートといった変わり種を企画。視野に入れるのは単なるハコモノの運営でなく、神社全体の集客力の強化だ。「これまで足を運ばなかった人が訪れるきっかけをつくりたい」と話す。

 神社のイベントや祭りは神社関係者が担うのが一般的で、外部の人がプロデュースしたりコンサルティングに関わる例はほぼない。各地にある神社が人を呼び込む中心的な存在になるには、「誤解を恐れずに言えば、ビジネス的な発想を持ち込む必要がある」。

 象徴的な取り組みが、8月に実施した夜市。屋台が並ぶ境内を妖怪が練り歩き、ステージではハローキティが踊りを披露した。1万人が訪れる盛況ぶりで、「ほかにはないイベントになった」と自負する。

 伝統を守りつつも、訪日客の誘致など新たな取り組みが求められる。神社界からの注目度は高く、「多方面からの重圧がすごい」と笑うが、アイデアは次々とあふれ出す。「百鬼夜行はどうだろう。妖怪大行列なんて面白いよね」

8月に開催された夜市。夜の賑わいに一役買った

きよはら・まさみつ●1968年大分県生まれ。皇學館大学神道学専攻科修了後、八幡朝見神社に奉職。後に神社界を離れ、2009年PPBコミュニケーションズ設立。現在も代表取締役社長を務める。18年9月エドッコスタジオを運営するCoCoRo社長に就任。